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11月19日-02号

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  1. 京都市議会 1992-11-19
    11月19日-02号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成 4年 11月 定例会(第4回)  平成4年第4回(定例会)   京都市会会議録   第2号          平成4年11月19日(木曜日)   出席議員(72名)  1番 天方晶英君  2番 大道義知君  3番 日置文章君  4番 川中増次郎君  5番 内海貴夫君  6番 橋村芳和君  7番 桑原茂樹君  8番 いさか博文君  9番 中村勝己君  10番 河上洋子君  11番 富 きくお君  12番 谷口弘昌君  13番 高嶋弘恵君  14番 小川利治君  15番 大西 均君  16番 巻野 渡君  17番 小林正明君  18番 富田征義君  19番 加藤盛司君  20番 鈴木マサホ君  21番 藤井佐富君  22番 山中 渡君  23番 北山ただお君  24番 加藤広太郎君  25番 宮本 徹君  26番 今枝徳蔵君  27番 小林澄江君  28番 中西賢治君  29番 秋山幸雄君  30番 田中セツ子君  31番 伊藤義浩君  32番 磯辺寿子君  33番 二之湯 智君  34番 中野竜三君  35番 安井 勉君  36番 小林あきろう君  37番 三宅誠孝君  38番 藤本貞子君  39番 高橋きみ君  40番 山本 豊君  41番 山本正志君  42番 岩本 弘君  43番 可児達志君  44番 永嶋久仁朗君  45番 中西正三君  46番 田中 保君  47番 北川光男君  48番 田中のぼる君  49番 井上与一郎君  50番 高橋泰一朗君  51番 椋田知雄君  52番 中村安良君  53番 北川 明君  54番 奥山茂彦君  55番 梅林 等君  56番 山口幸秀君  57番 南野昭雄君  58番 阿美弘永君  59番 若宮 修君  60番 坂口芳治君  61番 藤原冬樹君  62番 有吉節子君  63番 国枝克一郎君  64番 西脇尚一君  65番 青木善男君  66番 津田幹雄君  67番 江羅寿夫君  68番 加藤つる君  69番 福島滋弥君  70番 西田輝雄君  71番 小坂 正君  72番 末本徹夫君   欠席議員(なし)--------------------------------------   議事日程   開議日時 11月19日午前10時第1 議第175号 平成4年度京都市一般会計補正予算第2 議第187号 京都市立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第3 議第200号 都市高速鉄道近畿日本鉄道京都線東寺竹田間連続立体交差化工事委託契約の締結について第4 議第176号 平成4年度京都市国民健康保険事業特別会計補正予算第5 議第177号 平成4年度京都市中央卸売市場第一市場特別会計補正予算第6 議第178号 平成4年度京都市土地区画整理事業特別会計補正予算第7 議第179号 平成4年度京都市駐車場事業特別会計補正予算第8 議第180号 平成4年度京都市水道事業特別会計補正予算第9 議第181号 平成4年度京都市公共下水道事業特別会計補正予算第10 議第182号 京都市国際親善交流基金条例の一部を改正する条例の制定について第11 議第183号 京都市隣保館条例の一部を改正する条例の制定について第12 議第184号 京都市公設小売市場条例の一部を改正する条例の制定について第13 議第185号 京都市児童館条例の一部を改正する条例の制定について第14 議第186号 京都市休日急病診療所条例の一部を改正する条例の制定について第15 議第188号 京都市立高等学校において行う京都府公立高等学校入学志願者学力検査手数料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第16 議第189号 京都市コンサートホール(仮称)新築工事(電気設備工事)請負契約の締結について第17 議第190号 京都市コンサートホール(仮称)新築工事(空気調和設備工事)請負契約の締結について第18 議第191号 京都市コンサートホール(仮称)新築工事(給排水,衛生及びガス設備工事)請負契約の締結について第19 議第192号 京都市コンサートホール(仮称)新築工事(舞台音響設備工事)請負契約の締結について第20 議第193号 京都市洛西老人保養研修センター(仮称)新築工事請負契約の締結について第21 議第194号 京都市洛西老人保養研修センター(仮称)新築工事(電気設備工事)請負契約の締結について第22 議第195号 東部山間埋立処分地建設事業道路等新設工事請負契約の締結について第23 議第196号 山科駅前地区第一種市街地再開発事業仮設店舗新築工事請負契約の締結について第24 議第197号 出町柳地下駐車場(仮称)新設工事(掘削工事等)請負契約の締結について第25 議第198号 東野市営住宅増築工事請負契約の締結について第26 議第199号 竹田市営住宅新築工事請負契約の締結について第27 議第201号 市道路線の認定について第28 議第202号 市道路線の廃止について第29 議第203号 訴えの提起について第30 議第204号 訴えの提起について第31 議第205号 訴えの提起について第32 議第206号 訴えの提起について第33 議第207号 訴えの提起について第34 議第208号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第35 議第209号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第36 議第210号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第37 議第211号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第38 議第212号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第39 議第213号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第40 議第214号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第41 議第215号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第42 議第216号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第43 議第217号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第44 議第218号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第45 議第219号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について第46 報第9号 平成3年度京都市一般会計歳入歳出決算第47 報第10号 平成3年度京都市母子福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算第48 報第11号 平成3年度京都市寡婦福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算第49 報第12号 平成3年度京都市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算第50 報第13号 平成3年度京都市老人保健特別会計歳入歳出決算第51 報第14号 平成3年度京都市交通災害共済事業特別会計歳入歳出決算第52 報第15号 平成3年度京都市中央卸売市場第一市場特別会計歳入歳出決算第53 報第16号 平成3年度京都市中央卸売市場第二市場・と畜場特別会計歳入歳出決算第54 報第17号 平成3年度京都市農業共済事業特別会計歳入歳出決算第55 報第18号 平成3年度京都市土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算第56 報第19号 平成3年度京都市市街地再開発事業特別会計歳入歳出決算第57 報第20号 平成3年度京都市土地取得特別会計歳入歳出決算第58 報第21号 平成3年度京都市基金特別会計歳入歳出決算第59 報第22号 平成3年度京都市市公債特別会計歳入歳出決算   一般質問 1)市政一般について  田中のぼる君 2)市政一般について  富田征義君 3)市政一般について  藤原冬樹君-------------------------------------- 〔午前10時2分開議〕 ○議長(川中増次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。田中セツ子君といさか博文君とにお願いいたします。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) この場合,議長から御報告申し上げます。 本日までに受理いたしました請願23件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。--------------------------------------請願文書表「受理番号278」「施設建設の公平性」 △請願文書表「受理番号279」「コメ市場開放反対都市宣言の実施」・請願文書表「受理番号280~285」「学校休業土曜日の学童保育実施等」・請願文書表「受理番号286~291」「特別養護老人ホーム等の建設」 △請願文書表「受理番号292」「特別養護老人ホーム等の建設」・請願文書表「受理番号300」「南部児童公園の拡充」 -------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 以上,御報告申し上げます。御了承願います。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程に入ります。 前回の議事を継続し,これより順次上程することといたします。 日程第1ないし日程第3,議第175号平成4年度京都市一般会計補正予算,ほか2件,以上3件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認め,省略いたします。 これより討論を行います。発言の通告がありますので,これを許します。藤井佐富君。 〔藤井佐富議員登壇(拍手)〕 ◆(藤井佐富君) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表して,議第200号近鉄京都線東寺竹田間連続立体交差化工事委託契約の締結について,地元住民,関係者の意見を十分受け入れて事業が図られるよう意見を申し述べ,討論を行うものであります。 事業内容は,踏切事故及び交通渋滞の解消を図るため,近鉄京都線の東寺駅の南から鴨川右岸までの区間を高架化するというものであります。我が党は,事業そのものには賛成であります。しかし総事業費284億5000万円,高架切替えの完成が平成11年,更に盛土撤去の区間工事の完了は平成14年と,約10年を要する大事業であり,地元住民の間では不安や要望が数多く出されているところであります。更に最近になって,近鉄東寺駅の改築も明らかとなり,近隣住民の関心,そして期待,不安がますます広がっているというのが現状であり,以下の点を指摘するものであります。 その第1は,地元説明が十分でなく,今までの経過今後の見通しがよく分からないという声が出ていることを受け止め,地元,近隣住民に対する事業説明をきめ細かく行う必要があります。 第2には,工事施工について,家屋などの損傷や電波障害にとどまらず,電車騒音は,堀川暗渠上の仮設路線の走行によりなお一層激しくなることは確実であり,その対策には万全の体制で臨まなければなりません。 第3は,この工事に伴い十条駅,上鳥羽口駅も改築されますが,改札口の位置や障害者の方も利用できるようにエレベーターやエスカレーターの設置を行うなど,市民の要望が受け入れられるよう,近鉄に対し強く働き掛けを行う必要があります。 第4は,高架下の利用計画の具体化はこれからとしていますが,地元商店街や付近住民の意見を十分に聴き,反映させることです。 そして第5には,近鉄東寺駅周辺は,自転車で埋まり,商店街や近隣住民の生活に支障を来すほどであり,九条通の歩道は,障害を持つ人が車いすで移動することもできない事態になっております。駐輪場を駅の近辺に設けるべきであります。更に近鉄東側道の建設が果たして必要なのかという声もあります。 本市は,これらの点をしっかり押さえ事業に当たるよう強く指摘し,討論を終わります。(拍手) ○議長(川中増次郎君) これをもって討論を終結いたします。 これより表決を採ります。 まず議第187号を表決に付します。本案は,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(川中増次郎君) 多数であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に残余の議案2件を表決に付します。本案は,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第4ないし日程第6,議第176号平成4年度京都市国民健康保険事業特別会計補正予算,ほか2件,以上3件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第7,議第179号平成4年度京都市駐車場事業特別会計補正予算を議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(川中増次郎君) 起立全員であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第8及び日程第9,議第180号平成4年度京都市水道事業特別会計補正予算,ほか1件,以上2件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第10ないし日程第14,議第182号京都市国際親善交流基金条例の一部を改正する条例の制定について,ほか4件,以上5件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第15,議第188号京都市立高等学校において行う京都府公立高等学校入学志願者学力検査手数料等徴収条例の一部を改正する条例の制定についてを議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(川中増次郎君) 多数であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第16ないし日程第26,議第189号京都市コンサートホール(仮称)新築工事(電気設備工事)請負契約の締結について,ほか10件,以上11件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第27及び日程第28,議第201号市道路線の認定について,ほか1件,以上2件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第29ないし日程第45,議第203号訴えの提起について,ほか16件,以上17件を一括議題といたします。 お諮りいたします。本案は,委員会付託を省略のうえ,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 日程第46ないし日程第59,報第9号平成3年度京都市一般会計歳入歳出決算,ほか13件,以上14件を一括議題といたします。 伊藤君。 ◆(伊藤義浩君) 議事進行について。 ただ今議題となっております決算14件については,普通決算特別委員会を設置し,これに付託のうえ慎重審議願いたいと思います。 なお委員の数は52名とし,委員は議長から御指名願いたいと思います。この動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(川中増次郎君) ただ今伊藤義浩君から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の伊藤君の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よって伊藤君の動議のとおり決します。--------------------------------------   普通決算特別委員磯辺寿子君     井上与一郎君大西 均君     奥山茂彦君加藤つる君     川中増次郎君北川光男君     国枝克一郎君小林正明君     田中セツ子田中のぼる君    津田幹雄君富田征義君     中野竜三君中村安良君     西脇尚一君二之湯 智君    橋村芳和君椋田知雄君     阿美弘永君加藤広太郎君    河上洋子君坂口芳治君     高橋きみ君中村勝己君     藤井佐富君藤本貞子君     藤原冬樹君三宅誠孝君     山中 渡君山本正志君     若宮 修君秋山幸雄君     小川利治君可児達志君     小林澄江君高嶋弘恵君     永嶋久仁朗君中西正三君     日置文章君加藤盛司君     桑原茂樹君小坂 正君     小林あきろう君末本徹夫君     鈴木マサホ君西田輝雄君     山口幸秀君天方晶英君     今枝徳蔵君岩本 弘君     富 きくお君              以上52名-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) なお委員は,ただ今お手元に配付してあります名簿の方々を指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(川中増次郎君) 御異議なしと認めます。よってただ今指名いたしました方々を普通決算特別委員に選任することに決定いたしました。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 暫時休憩いたします。 〔午前10時14分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(川中増次郎君) 休憩前に引き続き,会議を行います。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,田中のぼる君。 〔田中のぼる議員登壇(拍手)〕 ◆(田中のぼる君) 私は,自由民主党市会議員団を代表して,市民要望の強い問題を中心に,以下数点にわたって質問いたしたいと思います。 ところで目下,本市においては来年度の予算編成のさなかと聞いております。田邊市長としても任期4年目の予算編成であるだけに,市長公約すべての実現のため種々御苦労されていることと思います。 バブル経済の崩壊で厳しい財政運営を余儀なくされ,マイナスシーリングの方針で臨まれているとのことですが,このときこそ地元産業の振興と景気浮揚を図る意味から,市債を大幅に発行してでも積極的な予算を組むべきであります。私の質問は,すべて市長公約に沿ったもので実現可能なものばかりでありますから,是非とも来年度予算で実行していただかなければなりません。また,そうされるものと固く信じております。したがって,市長並びに関係理事者におかれては,テレビを御覧になっておられる市民の皆さん方に分かりやすい御答弁をいただきますよう,まず冒頭にお願いしておきます。 さて質問の第1項目は財政問題についてであります。平成3年度一般会計の決算は,実質収支で22億5600万円となり,9年連続の黒字となっております。しかし,その中身を見ますと,景気の落込みの影響を受け,法人市民税が1.1パーセントの増にとどまったほか,初めて都市計画事業基金を20億円取り崩し,更に市債を対前年度比30.1パーセント増とするなどして財源を確保したもので,誠に厳しい内容となっております。 御承知のとおり,今日の経済状況は,いわゆるバブル経済の崩壊に伴い,内需が停滞し景気が悪化しておりますが,このような状況を克服するため,政府は本年8月,10兆7000億円に上る総合経済対策を決定し,総合的な施策の展開を図っているところであります。しかし急激な景気の回復は望めず,本市では,今後も市税収入に大きな伸びが期待できないうえ,一般会計で4903億円に上る市債現在高を抱えて,公債費の増をはじめ義務的経費の増大が見込まれるなど,引き続き厳しい状況が予想されます。 ところで,従来から我が党は,都市計画道路網の整備の後れをはじめとした社会資本の整備の後れを指摘しているところでありますが,平安建都1200年を2年後に控え,21世紀に向けて,今後はこれまで以上に京都高速道路早期事業化地下鉄東西線の整備,山科駅前市街地再開発事業の促進,二条駅周辺整備事業の促進など,各種の大規模事業に積極的に取り組んでもらわなければならないと考えております。 今後,財政運営上いろいろな制約が出てくることが予想されますが,このようなときこそ創意工夫を凝らして有効な施設の整備,施策の先取りを大胆に実施することをはじめ,京都の活性化に向けての事業を展開していく必要があると思います。 市長は,これら現在の財政状況をどのように分析されているのか,また限られた財源の中で,平安建都1200年事業をはじめ各種の事業を展開するに当たって,今後どのような考えを持って財政運営に当たるお考えなのか,まずお伺いいたしたいと思います。 次に固定資産税の評価替えについてでありますが,固定資産税は,市の税収の中で市民税と並んで基幹的な税目であり,地方公共団体としては大切にしていかなければならないものであります。したがって固定資産の評価は,なるべく分かりやすく,また他の公的評価と均衡がとれ適正なものでなければなりません。平成6年度の評価替えに当たっては,昨年の税制調査会の答申などによりますと,その評価は,地価公示価格の7割程度とされているところであります。しかしながら仄聞するところによりますと,本市の評価額の現状は,地価公示価格の1割程度であり,税制調査会の答申どおりの評価替えを行うとすれば,単純に見て5倍程度となるものと試算され,市民にとって大変な問題であります。市民の税負担が急激に増大しないよう,長期の負担調整措置をはじめとして住宅用地の特別措置や都市計画税の見直しも含めて総合的かつ適切な調整措置を講じていただきたいと考えておりますが,市長の御所見をお伺いいたします。 次に,まちづくりについてお伺いいたします。昨今,景観に対する市民の関心が高まっておりますが,この間の景観論争を聞いておりますと,余りにも保全の側面ばかりが強調され,京都がこれまで常にその時代時代の新しいものを採り入れながら発展し続けてきた大都市であるという視点が欠落しているように思えてなりません。景観保全があたかもビルの高さ問題に集約されるというような論争や,新しい開発については何でも反対するという動きは,果たして本当に京都の発展を願うものと言えるのでしょうか。 確かに京都は三方を四季折々に色なす美しい山々に囲まれ,山麓には歴史,文化的遺産が点在し,市中には鴨川をはじめとする清流によって他の大都市に見られない自然的歴史的景観を創出し,年間4000万人もの観光客が訪れる魅力ある都市であります。この国民的財産ともいうべき古都のたたずまいを後世に引き継いでいくことは我々に課せられた責務であります。 しかしながら,その一方では146万市民の生活を支える経済基盤の確立が不可欠であり,都市機能の集約,向上により本市の活性化を図っていくとともに,京阪神都市圏の一体的な発展を目指していくことが必要であります。 都市は時代とともに変容し発展し続ける機能集合体であります。京都をただの遺跡都市,博物館都市にしてはならないのであります。そのためには,開発すべき所,保全すべき所を明確にし,21世紀を展望した思い切った施策の展開を図らなければなりません。 私は,平成3年の1月に田邊市長が提案されました北部は保存,南部は開発重視とするまちづくり試案に基づいて,まちづくり審議会から提言された伝統と創造の調和したまちづくり推進のための土地利用及び景観対策についての第1次,第2次答申の内容は大変貴重なものであり,これを今後の市政に是非とも反映させていかなければならないと思うのであります。 そこで,この答申を受け,伝統と創造の調和したまちづくりに向けて,今後どのように都市計画行政を進めていかれようとするのか,まず御質問いたします。 まちづくり審議会第1次答申の中で,保全が必要な地域における強力な規制を行うために,凍結的保存と現行の風致地区の規制との中間的な規制制度を条例で創設することや,現行の風致地区条例における残すべき森林緑地の割合を高めるなど,無補償で最大の保全面積の確保を義務付けるとともに,土地の売買が行われた場合の森林緑地保全の担保方策も検討するとありますが,本市の厳しい財政状況から見て,ポンポン山,吉田山を教訓に,早急に新条例を制定すべきであると思います。新条例制定についての基本的な考え方及び制定時期について,佐藤助役にお伺いいたします。 また京都市は,自ら率先して景観の保全,形成に努力していくべきであり,そのためには,自然景観の保全だけでなく市民の生活に直接結び付いている市街地内の町並み保存地区においても行政の積極的な姿勢を示すべきであります。現在,伝統的建造物群保存地区内で修理等を行う場合の補助金については,倉敷市は,修理の場合補助率が5分の4以内,限度額が600万円となっており,その他の都市でもほとんどが同規模あるいはそれを超える内容になっているのに比べまして,本市は,修理の場合は補助率が3分の2,限度額が300万円とかなり低い水準になっています。協力を惜しまない保存地区内の住民の方々の負担がそれだけ多くなっているわけであります。 我が党は,これまでから補助率のアップや限度額の改定を要望してまいりましたが,この際,制度の抜本的な改善を考えるべきではないでしょうか。佐藤助役にお尋ねいたします。 また私の住んでおります右京区にあります嵯峨鳥居本地区においては,景観保全の啓発のキーステーションとなる町なみ保存館の開設が準備されておりますが,当地区は,他の伝統的建造物群保存地区のリーディングモデルとなるように,この秋から始まる下水道工事完了後には,舗装を地域にふさわしいものに改善し,これに併せて,電柱,電線類の整理や照明灯の設置を行うなど,よりよい景観の形成に取り組むべきであると考えますが,併せてお答えください。 次に都市基盤整備について御質問いたします。人,物,情報の流動化や広域化が日進月歩の勢いで進展する今日,市民一人一人が快適な生活を享受し都市活動を営んでいくためには,多様な交通需要に的確に対応した都市交通施設の整備が不可欠となっております。また都市交通施設は,都市形成の骨格を成し都市構造を規定するとともに,都市に新たなエネルギーを吹き込み健全な都市の発展を促進する大きな役割を担っております。 ところで,本市においては,歴史都市ゆえの都市構造が幹線道路網の整備を立ち後らせるとともに,モータリゼーションの進展とともに市内各所に交通渋滞を招き,市民生活や都市活動を大きく制約する原因ともなっております。このため,市内各所を円滑に結んで交通所要時間の短縮と道路の秩序化を図り,長距離交通の分離独立により一般道路の交通混雑を抜本的に解消するとともに,京阪神3都市を有機的かつ迅速に結び付けることができる都市高速道路網の整備充実が私は緊要であると思います。 幸いにも現在,京都市においては長年の懸案でありました京都高速道路計画が本年度内の都市計画決定を目指して精力的に進められており,国において予算が認められれば,来年度から阪神高速道路公団によって新十条通の事業に着手される予定であると聞き及んでおりますが,誠に喜ばしいことであります。 我が党は,先の9月市会定例会において,京都高速道路とこれに続く京阪連絡道の整備促進に関する意見書を提案し,与党各会派の圧倒的な支持を得て可決したところであります。京都市においては,これらの道路を早期に整備するとともに,利用者サービスの向上を図るためどのような対策を講じていかれるお考えでしょうか。市長の明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。 また道路は,あらゆる公共施設の中で最も市民の日常生活に直結した施設であり,毎日の市民生活には欠かせないものであり,京都に来られる年間4000万人近い観光客にとっても重要な施設であります。しかしながら,京都市の道路整備は後れており,特に市の周辺部においてその後れは顕著であります。 そこで量的にも質的にも後れている本市,とりわけ右京区内の道路網の整備を今後どのようにして進めていかれるのか,併せてお答えください。 まちづくりの最後に小倉山問題についてお尋ねいたします。市長は,去る11月11日,右京区嵯峨の小倉山に放置されてきたJR山陰線複線電化の工事残土について,搬出をしないまま山の復元工事を行うというJR西日本の計画案に対し,これを認めるという最終的な姿勢を打ち出されました。今回の決定は,市長にとって大変苦汁に満ちた選択でありますが,搬出作業には長期間を要し,環境破壊など2次的な問題が予測される中で,現実に即した最善の策として一定の理解はいたします。(発言する者あり) しかし,よく聞いてください。三山保全の方針を貫く立場から行政代執行までした比叡平西側違法開発問題や,ゴルフ場用地を購入したポンポン山への対応と,今回の措置とに大きな乖離があるように感じられます。今回,現地に残土を残したまま復元工事を認めた経過背景,理由について,市長から改めて明らかにしていただきたいと思います。 また歴史あるこの小倉山の景観を今までどおり保全できるのかどうか,残土を撤去せずという今回の措置で,防災,治水対策の面からも心配はないのか危惧しているところであります。この山容の景観保全の見通しなど技術的な面も含めてお答えください。 また今回の結論によって,JR西日本は残土を長い間放置し市民に迷惑を掛けたけじめとして,京都市に3億円の拠出を申し出たと伺っておりますが,この寄付金で残土問題は終わったとお考えですか。京都市は現在,JRの跡地利用など多くの拠点整備を進めておりますが,これらのまちづくりに対して,JRとして更に積極的に京都市に協力することの方がより緊要のことと考えます。そうした姿勢をJR西日本に対して確約させることが必要と思いますが,併せてお答えください。 今後は一日も早くJR西日本の費用負担と責任において,地元の要望を尊重して緑豊かな山並みの回復を強力に指導されるよう強く要請しておきます。 地元嵯峨自治連合会の会長さんは,単に植林するだけではなく,市民が利用できる公園にできないものかと新聞紙上で述べられておりました。そこで提案でありますが,私は,小倉山は,御承知のように歌人藤原定家がここ小倉山で百人一首を選んだので,小倉百人一首と呼ばれて名高い所であります。この文化と歴史の薫りで名高い小倉山をそれにふさわしいものに,この際,整備してはどうかと思います。 緑に復元しても凍結的保存にとどまることなく,活用的保存に取り組むべきであります。小倉山に散策の小径を整備して,その道の路傍には百人一首を刻んだ歌碑100本を建て,その歌碑を巡りながら散策を楽しむうちに亀山公園,嵐山へとたどり着くというのはどうでしょうか。これは観光基本構想の基本的方針にある観光コースの開発にも資するものと考えますが,このように小倉山に百人一首の小径として散策ルートを整備していくことについての市長の御見解をお聞かせください。 次に福祉医療行政についてお伺いいたします。戦後約半世紀を経過し,我が国は世界に誇る繁栄と豊かさを享受するに至りました。しかしながら私たちは,これまで目に見える豊かさを求めて走り続けてきた感があります。今後は京都市健康都市構想においても取り上げられているとおり,改めて私たち自身の豊かさを問い直し,市民一人一人が豊かさを実感でき,その豊かさを社会全体で共有できるように努めていく必要があると考えております。 また一方では,未曾有の高齢社会を迎えるに当たり,価値観の多様化や少子化,生産年齢人口の減少などの状況を踏まえ,社会の枠組みそのものの再構築を真剣に考えていかなければならない時期に至っております。 私は,歴史の転換点とでも形容すべきこういった変動期において,京都市政の果たすべき役割を考えるとき,福祉医療行政の推進こそがその成否のかぎを握るものではないかと考えている次第であります。 そこでまず先日,市長から発表されました高齢社会対策推進計画についてお尋ねいたします。この計画は,その序文にも示されているとおり,昨年秋に策定された京都市健康都市構想の理念を重要な視点とし,高齢社会を迎える市民の生活や意識を多角的な観点から浮き彫りにした高齢社会対策実態調査の結果などを重要な素材として,更には京都市社会福祉審議会の意見具申の内容を盛り込むなど,現時点の最新の総合計画であります。 そこでまず第1に,この計画の完全実施に向けての市長の御決意をお聞かせください。 次に平成5年度は,この高齢社会対策推進計画の記念すべき初年度として計画の実施に意欲的に取り組み完全実施に向けての大きな弾みを付けるべきであると考えます。これからの本格的な高齢社会を展望するとき,高齢者保健福祉推進10か年戦略,いわゆるゴールドプランに基づき,特別養護老人ホームを中心とした施設での福祉と,家庭奉仕員派遣事業,短期入所事業,デイサービス事業などの在宅福祉を飛躍的に充実させていくことは当然のことながら,用意された各種の福祉サービスを必要とする市民に迅速かつ的確に供給することが大切であります。そのためには,保健や福祉の様々なサービスに関する情報を集積し提供する機能や,支援を必要とする高齢者の状況を的確に把握する専門的判定,相談機能を備えた高齢者福祉の中核施設を整備することが必要であると考えますがいかがでしょうか。市長にお伺いいたします。 更に高齢社会における保健医療対策として,在宅での医療や看護が重視されてきており,高齢の入院患者の家庭復帰を促進するための老人保健施設や在宅患者に対する老人訪問看護,更には医療施設の機能分化など多様な施策や制度が整備されつつありますが,市民のニーズに応じたこれらの施策や制度の具体化が図られているかと言えば,まだ不十分な面があると言わなければなりません。こうした状況を踏まえて,今後更に進行する高齢社会における保健医療対策をいかに進められるのか,併せてお聞かせください。 次に第6回全国健康福祉祭京都大会,いわゆるねんりんピックについてお尋ねいたします。いよいよ来年度に迫った京都大会については,高齢者をはじめ,年齢や身体状況にとらわれない幅の広い市民の参加により大会を大きく発展させ是非とも成功に導くことが必要であります。 私は,この京都市で開催する限りは,平安建都以来1200年の歴史と伝統を持った京都の良さを随所に生かした大会にしていく必要があると考えます。また大会を単なる祭典に終始させることなく,これからの長寿時代を展望した大会になるよう万全を期すべきであると考えております。主催者としての市長に,大会に臨む理念を含めて御答弁をお願いいたします。 次に国民健康保険についてお伺いいたします。国民健康保険制度は,昭和36年4月の制度発足以来,国民皆保険の根幹として国民の命と健康を守るうえで非常に重要な役割を果たしてきました。しかし本市においては,高騰する医療費や退職者医療制度の創設に伴う国庫補助削減の影響を受けて急速に赤字が蓄積し,昭和61年度末には74億円もの累積赤字を抱えるに至りました。この巨額な累積赤字を解消するため,老人保健制度等の国の制度改善はありましたが,本市独自でも一般会計からの繰入金の増額,医療費の適正化や保険料徴収率の向上,更には我が党議員団をはじめとした国への積極的な働き掛けによる財政調整交付金増額の獲得など,財政安定のための努力を重ね,平成2年度にはこれを解消し,更に平成3年度決算では,累積収支で45億円の黒字を計上するまでに至りました。この間,保険料につきましても,本市の厳しい財政状況の中で,一般会計繰入金の増額や繰越金の充当などにより,平成3年度及び4年度と,2年連続して1人当たり平均保険料を同額に据え置かれましたことは,一定の努力をされたものと評価いたしております。 しかしながら,医療費が依然として高騰を続けていることや,老人と低所得者の加入割合が高いことにより制度的に財政基盤が脆弱であることなど,本市国保の置かれている厳しい状況を考えた場合,今後も健全な事業運営を維持していくには並み並みならぬ行政手腕が必要であると思います。平成3年度決算で見込まれる45億円の累積黒字を,どのように今後の事業運営に生かしていかれるおつもりか,市長からそのお考えをお示しください。 次に観光行政についてお尋ねいたします。本市においては,本年1月に京都が代表的な国際観光都市として大きく発展することを期待し,21世紀を展望した長期的な京都観光のビジョンとして京都市観光基本構想を公表されたところであります。この構想においては,観光を京都のまちづくりに積極的に位置付けるとともに,国際化と情報化をキーワードに6つの基本方針と50項目にも及ぶ提言を基に,これからの京都観光の基本的な方向を示されたものでありますが,今後はここに示された構想について具体的な年次計画を策定され計画的に推進していくべきであると考えますが,現在の取組と見解を市長にお伺いします。 観光基本構想や京都市観光調査年報などを見ますと,内外からの入洛観光客数は3800万人を中心に100万人から200万人の増減で定着傾向にあります。更にその内容を見ると,外国人は増加しておりますが,修学旅行生は減少しつつあります。また宿泊客とマイカーによる観光客は横ばい傾向であり,観光消費税についても総額では5100億円で,前年比100億円の減少ではありますが,1人当たりでは過去最高とのことであります。しかし物価の上昇を考えると必ずしも喜んでいられないものと考えます。 また全国的な傾向として,観光の形態が参加型,滞在型,個性化してきており,しかも昨今では,観光を地域活性化の手段として重視する自治体が増加し,いわば全国総観光地化の時代であると言えます。こうした京都の観光を取り巻く環境の変化にどう対応されようとするのか,併せてお答えください。 また京都の観光地は,春や秋のシーズンには差があるもののマイカーなどの車で渋滞し,観光客,市民の双方から不満の声が挙がっております。このため特定の観光地への集中の排除やオフシーズン観光の振興,散策観光の宣伝など市民生活との調和のとれた観光を進めていく必要があります。過日の新聞に,地元が中心となって金閣寺から仁和寺に至る2.5キロメートルの市道,愛称きぬかけの道でウォーキングラリーを実施し800名の参加があったとの報道がありました。このコースには,堂本美術館や立命館大学国際平和ミュージアムなど社寺だけではない多彩な観光スポットがあり,おもしろい取組であると感心いたしました。 これは一例にしかすぎませんが,京都には多くの観光資源があります。しかし活用されているのはほんの一部であると思います。多様な未活用の観光資源を掘り起こし,単に点としてではなく線なり面として宣伝し,歩く観光の推進に努めるべきであると考えます。 そこで提案でありますが,衣笠から嵯峨に至るゾーンは,JR,阪急,京福などの鉄道があり,多くの,そして多様な観光資源が集積した地域であります。散策観光の視点に立って,歩道や指標などの再整備を行い,加えて外国人を含めた観光客のための京都の名に恥じない総合的な受入施設を設置するなどして,ゾーンが一体となるような取組を進め,東山ゾーンに対比し得る京都を代表する観光ゾーンとすべきと考えますが,市長の御見解をお伺いいたします。 次に地下鉄東西線の二条駅以西への延伸についてお伺いいたします。地下鉄東西線は,烏丸線が市内を南北に貫く路線であるのに対して,六地蔵から醍醐,山科を経て都心部から右京区を通って西京区の洛西ニュータウン,更には長岡京市に至る全長30キロメートルに及ぶものであり,昭和40年代以降,急速に発展してきている本市の西部,東部と都心部を直結するだけでなく,途中,地下鉄烏丸線をはじめとしてJRや京阪,阪急とも直結する,まさに本市の東西を結ぶ幹線鉄道として計画されたものであります。 当面,醍醐からJR二条駅までの12.7キロメートルを第1次事業区間として,昭和63年7月に事業免許を取得し,現在ほぼ全工区において精力的に建設が進められているところであります。これについては,山科駅前の再開発の問題をはじめとして,厳しい条件の下での建設工事であることは十分認識しておりますが,市民の期待は極めて大きいものがあり,一日も早い完成を目指して更なる努力を望むものであります。 さて,この地下鉄東西線の二条駅以西への延伸についてでありますが,右京区,西京区の現状を見ますと,これらの地域は,急速に都市化が進んできた一方で,道路等の基盤的な都市施設の整備が立ち後れ,日常の通勤,通学問題,交通渋滞,生活道路での通過交通の問題など,交通問題の解決は地元住民にとっては極めて切実な課題となっているのであります。 このように右京区,西京区の交通の実態を直視いたしますとき,また更に加えて,この地域の今後の開発,整備を考えますとき,地下鉄東西線の二条駅以西,右京区,西京区方面への延伸は,むしろ遅きに失した感さえあり,もはや一刻の猶予も許されない状況にあると言っても過言ではありません。したがって,早急に二条駅以西の建設計画を具体化し,事業の取組を開始すべきであると考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。 次に教育問題について質問いたします。まず高校教育についてでありますが,去る10月25日,紫野高校英文系進学説明会に500人を超える中学生,保護者が殺到という新聞記事が目に止まりました。高校教育については,これまでから生徒や保護者の期待にこたえるべく補習講座や習熟度別授業の実施,コンピュータ進路指導システムの導入など様々な取組をされてきたところであり,その成果が着実に現れてきております。今春,市立塔南高校は大学への進学実績が京都市内でナンバーワンという見事な成果を上げておられますし,普通科だけでなく,工業科や商業科でも最先端の機器の導入や資格取得等により高度な技術を身に付け,希望する進路に進み,実社会で即戦力として大いに活躍されていると伺っております。 国際化への対応ということでいえば,これまでから堀川高校音楽科のキエフ訪問,西京商業高校国際経済科のシンガポール研修旅行,伏見工業高校ラグビー部のニュージーランド親善訪問など様々な国際交流事業が実施されており,それぞれに成果を上げておられます。しかし,短期的な取組だけでなく,日常の授業や様々な学校行事を通して,真に国際社会に活躍できる人材の育成を目指す教育が求められており,こうした点で紫野高校英文系には大いに期待できるものであります。 これらの積極的な取組は,公立高校への期待と信頼をより大きなものにし,保護者,市民の期待にこたえ得る高校教育を実現していくうえで,なくてはならないものであり,市立高校の発展に大きな役割を担うことにもなるものと考えております。京都市立高校が今後ますます生徒,保護者の大きな期待にこたえていくため,どういう取組を進めていかれるのか。また紫野高校英文系の設置にかける意気込みも含めて教育長から御答弁ください。 次に21世紀を背負って立つ子供たちの教育の基盤とも言える幼児教育の充実についてでありますが,子供というのは,幼いころはみんな同じように遊んでいるものですが,年齢が進むにつれて,学力をはじめ学習に取り組む意欲等,次第に格差が生じてきます。幼稚園や保育所だけでなく,家庭における幼児期のわずかな経験の違いの積み重ねが子供たちの望ましい成長に大きな影響を与えることとなるのです。かつては親子3世代同居というのが当り前であり,親から子へ,子から孫へ子育ての知恵や方法の次第送りが幾世代にもわたり引き継がれてきたわけですが,核家族の進行は,そのことを大変困難なものにしてしまいました。 更に昨年,1.57ショックという言葉が日本中を掛け巡り大きな話題となりましたが,1人の女性が生涯に産む平均の子供の数が平成元年度には1.57人に,平成2年度にはこれを下回る1.53人となるなど少子化が進んでてきております。同じ平成2年度,京都市では1.38人であり,少子化の進行が全国レベルを大きく上回っている状況であります。 我が国は,世界でも有数の先進国家,経済大国として人類史上かつてない豊かな時代を迎えております。しかし若い世代の子育てに対する意識の低下に加え,たとえ子供を持ったとしても望ましい育児ができない状況を目の当たりにし,一体この国の将来はどうなっていくのだろうと不安を抱かずにはおれません。親たちの子育てに関する相談に積極的に応じることをはじめ,子育てに関する情報の収集,提供,私立幼稚園,公立幼稚園の先生方の研究,研修や子供に関するイベントのできる施設,すなわち市民ぐるみで子育てを推進する拠点として幼児教育センターの設置が必要であると考えております。 子供たちを安心して産み育てることのできるまちづくりは,健康都市京都をより具体的に実現するに当たって不可欠の条件であり,その拠点となる幼児教育センターの建設は,新しいまちづくりを目指す本市にとってなくてはならないものであると考えております。この幼児教育センターの建設について,教育長にお尋ねいたします。 次に私立幼稚園教育の振興についてでありますが,京都市では,平成3年度,私立幼稚園児の保護者の負担軽減を図るため,教材費の補助単価を大幅に増額されるとともに,支給対象を3歳児に拡大されたところであります。更に本年度の予算におきましても,先生方の研修費やPTAの家庭教育セミナーに対する補助金の増額を実現されたところであり,幼児教育に高い意識を持っておられる田邊市長の大英断に保護者をはじめ多くの幼児教育関係者は熱い視線を送っておられます。 しかし,この7月,京都で政令指定都市の私立幼稚園関係者が一堂に会する会議が開催され,田邊市長も出席しておられました。私も文教委員長として出席させていただきました。その際,関係者から直接聞きましたところによると,12の政令指定都市におきまして,個々の私立幼稚園に対して教材費や施設整備をはじめとする幼稚園の運営に対する助成を実施していないのは京都市だけであるということを知り,大変驚いてしまいました。 教育は国家百年の計と申しますように,教育の成否は我が国の将来を大きく左右いたします。こと幼児教育につきましては,子供たちの社会性,思考力,運動能力,豊かな感性など,子供たちが人間として生きていくうえで最も重要なものをはぐくむという重要な役割を持っており,教育の中でも最も基本となるものであります。幼児教育の成否は,我が国の将来を決めると言っても過言ではないと考えているくらいであります。 21世紀を背負って立つ子供たちの健やかな育成を願い,本市教育の基盤を支えていると言っても過言でない私立幼稚園に対して,文化と教育のまち京都の名に恥じないような助成措置として,幼稚園児の93.6パーセントが通う私立幼稚園運営に補助をする制度を新たに導入すべきであると考えますが,併せてお答えください。 次に西京極総合運動公園についてお伺いいたします。西京極総合運動公園は,昭和63年には全国2巡目の京都国体が開催され,その翌年度には,阪急京都線北側区域の再整備も完了し,全国高校駅伝などの全国規模の大会から,市民スポーツやレクリエーションまで幅広い利用ができる総合運動公園として整備されてきました。これら一連の再整備に伴い,従前あったプール等については,拡張区域である阪急京都線南側に整備される計画となり,昭和63年度から用地買収を始められるなど事業に取り掛かっておられますが,特にプールにつきましては,京都市内に公認施設がなく関係団体等から早期完成が切望されているところであります。しかしながら,拡張区域には営農されている農家の地権者や居住されている市民も多く,計画当初は,農業継続のための代替地要求や住居の移転に伴う生活環境の変化への不安等があり,必ずしも事業の同意を得られていない状況でありました。しかし現在では,行政担当者の努力もありますが,地権者の多くが事業へ協力する方向に大きく変わりつつあるものの,バブル経済の崩壊による地価の下降傾向や,市街化区域の生産緑地制度の改正等による新たな生産緑地に指定される見通しとなっていることから,用地確保は依然困難な状況にあると思われます。京都市の健康都市構想の実現の一つとして,京都市のスポーツの振興を図るうえでも公認競技用プールや市民プール等の施設整備は是非必要であると考えますので,その決意と現在の取得状況を,また京都市に用地取得費がないために買収が進まないとも聞いておりますが,今後の用地取得の見通しを佐藤助役にお伺いいたします。 また阪急京都線南側の拡張区域にどのような施設を計画され,完成目標年次はいつごろなのか,併せてお答えください。 一方,現在の阪急京都線北側区域では,駐車場が狭く,公園の周辺道路の不法駐車も多い状況の中で,公園全体としての駐車場の確保は不可欠であります。 そこでこの際,駐車場を地下に建設し,その地上部をソフトボールやゲートボール等多目的に使用できるグラウンドとして整備してはいかがでしょうか。私は,是非地元の要望を実現していただきたと思います。佐藤助役に見解をお伺いいたします。 次に地域文化会館の建設についてでありますが,京都市においては,昭和59年3月に市街地周辺部を東西南北の4文化圏に区分した中規模文化圏構想を策定し,この構想に基づき市内周辺地域に広域的に利用できる文化会館が順次建設され,地域における文化創造活動の拠点として,その役割を果たしてきたところであります。 これまで,東部地域に東部文化会館が完成し,平成2年8月には南部地域に呉竹文化センターが完成しております。また現在,西部地域においては西部文化会館が,更に北部地域においては北大路文化会館の建設が進められており,4文化圏5施設のうち,残すは右京地域における文化会館のみとなっております。地元においても早期建設を求め,平成2年10月には約5万人の署名による要望書が市長に提出されるなど,区民挙げての早期建設を求める声があります。また我が党においても,過日提出いたしました平成5年度京都市予算に対する要望書において,昨年度に引き続き早期建設を要望しているところであります。 文化会館の早期建設に向けて,これまで建設予定地について種々の検討がなされてきたと伺っておりますが,いまだ建設用地が確定するまでには至っておりません。地域における市民の多様な文化活動の振興を図るための拠点施設として,更には生涯学習の必要性が叫ばれている今日の状況からも早期建設が必要であることは言うに及びません。 市長,右京文化会館の建設について,その決意と建設見込みについてお伺いいたします。 最後に右京南部地域における区役所出張所等の設置についてお尋ねいたします。右京区役所は,京福電鉄,市バス,京都バスを乗継ぎなしで利用できる人にとっては便利な所に位置しておりますが,右京区の南部地域,いわゆる葛野,西京極,梅津,西院第2学区,北梅津,山ノ内学区の一部には約1万8000世帯,4万5000人の区民が住んでおります。区役所への距離もかなりあり,そのうえ南北の公共交通機関がないため,どうしても乗り継いでいかなければならないといった実情にあります。市長さんも西院に住んでおられまして,奥さんが大変だということを聞いておられると思います。南部地域に住んでいる住民にとっては大変不便を感じております。 右京区には嵯峨,嵐山方面に嵯峨出張所が設けられておりますが,この南部地域にも出張所の設置をお考えいただきたいと思います。仮に出張所の設置が難しいのであれば,幸いにしてこの地域には京都市の公共施設があります。この場所を活用していただき,電算化されている事務の発行業務ができるサービスセンター的なものでも設置できないかと考えますが,いや私は是非設置していただきたいと思いますが,市長のお考えをお聞かせ願います。 以上で私の質問を終わりますが,時間の関係で第二質問はいたしませんので,打てば響くような御答弁を期待して終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 田中のぼる議員の質問に対してお答えいたします。 まず今後の財政運営についてでございます。御指摘のとおり平成3年度の一般会計決算は,予算の効率的な執行と市債をはじめとする財源の確保に努めるとともに,都市計画事業基金を取り崩したことなどにより黒字となったものであります。また今日の厳しい経済状況の下で,今後も市税収入に伸びが期待できず,多額の市債残高を抱え義務的経費や繰出金の増加など引き続き厳しい財政運営を強いられることが見込まれております。しかしながら市民の福祉を向上し,平安建都1200年から21世紀に向けた理想のまちづくりを推進するために,都市基盤整備事業や京都の経済を活性化させる事業は,何としてもやり遂げなければならない重要な事業であると考えております。 このため行財政の効率化と財源の重点的配分に努めます一方,今後国に対する要望活動を更に強めながら,これまで積み立ててまいりました各種基金や市債の活用など,財源の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 固定資産税の評価替えについてでございます。平成6年度の評価替えにつきましては,御指摘のとおり他の公的土地評価との均衡化,適正化を目指して地価公示価格の7割とすることとされております。そうしますと,御指摘のように評価額は現在の5倍程度になるのではないかと予測いたしております。それがそのまま税額に跳ね返ることになりますと,大きな影響を及ぼすものと認識いたしております。市民の税負担が急激に増大しないよう,長期の負担調整措置の導入をはじめとして,住宅用地の課税標準の特例の拡充など総合的かつ適切な措置が講じられるよう他都市とも共同し,また本市独自で関係機関に働き掛けを強めてまいりたいと考えております。 次に京都高速道路などの御質問についてお答えいたします。本道路の整備に当たりましては,阪神高速道路網の中で一元的な採算性の確保が図られるよう京阪神の関係自治体に御協力をお願いしてまいります。また地元自治体といたしましても,必要な用地の先行取得,関連道路の整備促進,事業主体に対する低利または無利子融資の導入などの検討などを総合的に実施することによりまして,適正な料金水準の下で市民に利用していただきやすい道路として早急に整備が図られますよう最大限の努力をいたしてまいります。 次に小倉山についてでございます。トンネル工事完了後,残土の搬出処分を前提にJR西日本を強く指導するとともに,本市といたしましても客観的な状況を踏まえる中で,いろいろな搬出案を検討いたしてまいりました。しかし搬出に要する期間の長期化,車公害などの市民の日常生活に与えます影響,また新たな自然環境の破壊の問題など,現状の下では残土を搬出することは極めて困難であります。 小倉山は,嵐山,保津川と一体になった景勝地であり,本市といたしましては,早急に小倉山を緑豊かな山並みに回復させることが大切であるとの認識に立ちまして,山容をできるだけ元に近い形に戻すという方法を採ることが現実に即した最善の方策であるとの結論に達しました。こうしたことから,JR西日本から提出されてまいりました残土の現地処理による復元計画を許可いたしたものでございます。 またこの残土の現地処理による復元計画につきましては,景観の保全に対する影響はもとより,防災面での安全性や植生につきましても専門家の方々の御意見や御助言を得て総合的に検討して判断いたしたものでございます。したがいまして,この復元計画によって小倉山一帯の歴史的風土の保全,景観の維持を図ることができるものと確信いたしております。 次にJR西日本からの拠出金についてでございます。この拠出金は,小倉山一帯の景観保全の重要性を認識され,長期にわたって市民の皆様に御迷惑をお掛けしたことに対して,信頼回復の決意を表明されたものと考えております。この問題は,緑豊かな山容が回復されて初めて終息するものであり,今後の復元工事の実施に当たりましては,一日も早く緑豊かな山容が復元できますよう厳しく指導してまいります。 また本市では,市民生活の向上と利便の増進を図る観点から,JR西日本の協力を求めていかなければならない行政施策が多くあり,今後とも積極的に協力を求めていく考えでございます。 小倉山の今後の市民的利用につきましては,ただ単に保存するだけではなく,市民が利用し,憩い,楽しむことができるように整備することが必要であり,今御提案の趣旨も踏まえまして,散策道の整備など小倉山一帯の歴史的風土を生かした整備を検討してまいりたいと考えております。 京都市高齢社会対策推進計画につきましては,進行する高齢化社会に対応するための本市の取組の方向と具体的内容を明示した計画であります。高齢者問題は,計画でも明らかにしておりますように高齢者のみの問題ではなく,若青壮年層も含めた社会全体の問題としてとらえるべきであり,人生80年代にふさわしい社会システムを形成していくことが必要であります。そのため誰もが健康で生きがいを持ち,安心して生活できる健康都市京都を実現するために,市民の皆様の御協力を賜りながら本市の総力を挙げた取組を進めてまいります。 高齢者福祉を推進する中核施設につきましては,昭和53年に中央老人福祉センターを設置しまして,高齢者の生活を支援するための事業を展開してまいっておるところであります。しかしながら,その後の人口の高齢化や核家族化の進行及び女性の社会進出などにより,市民の高齢者福祉に対する需要は増大かつ多様化,普遍化してきており,その機能の見直しが必要となってきております。そのため御指摘のように,専門的判定や相談機能を有する本格的な高齢社会に対応できる中核的施設の設置について,京都市高齢社会対策推進計画を踏まえ検討いたしてまいります。 高齢社会における保健医療対策につきましては,従来の治療中心から予防や在宅重視の取組へと移るとともに,生活の質を重視した対策が求められていることは御指摘のとおりでございます。このために,保健,医療,福祉の充実,その連携によって長寿時代のライフサイクルに対応したサービスが行き届くまちづくりを目指して,現在京都市保健医療計画の策定を進めており,また高齢者などに対する保健医療福祉サービスの政府目標や供給体制の確保を図る老人保健福祉計画の策定に向けて取り組んでいるところでございます。この計画の下に高齢社会における保健医療施策の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に,ねんりんピック’93京都大会につきましては,全国の参加者の方々に,京都の歴史と伝統文化に触れていただくとともに,京都市健康都市構想の実現を目指す事業としまして高齢者の方々の積極的な社会参加を推進し,世代間,地域間の協調と交流を図る大会として開催してまいりたいと考えております。また本大会を契機としまして,高齢者が自らの長寿を喜び,生きがいを持って暮らすことができる人生80年時代の社会システムの形成を図ってまいる所存でございます。 平成3年度の本市の国民健康保険事業において45億円の黒字を生みましたことにつきましては,多額の一般会計繰入金を確保したこと,あるいは国民健康保険事業運営安定化計画の積極的な推進や保険料の徴収率の向上に対する取組など,本市の運営努力を国において高く評価していただき補助金が見込みを大幅に上回って交付されたことなどによるものであると考えております。 しかしながら今後の財政運営につきましては,平成3年度の累積黒字の45億円のうち,13億円を平成4年度予算で1人当たり平均保険料を前年度と同額に据え置く財源として充用していること,既に一般会計からの繰出金が多額に上っておりますことや,更には診療報酬改定の影響などにより医療費が引き続き増加傾向にあること,また低所得者や高齢者の加入割合が増えておることなどによりまして国民健康保険の持つ財政基盤は依然として脆弱であり,運営は決して楽観視できる状況にはございません。したがいまして,今後とも国に対しては,国民健康保険制度が長期的に安定する医療保険制度の抜本的な改善を引き続き要望するとともに,本市におきましても健全な国民健康保険財政の確立に向けまして最大限の努力をいたしてまいります。 京都市観光基本構想の具体化への取組についてでありますが,観光行政は,道路,鉄道など観光基盤の整備や景観,文化財の保護,観光関連業界の振興など総合的な視点を必要とするものであると考えております。このために現在策定中の新京都市基本計画にも積極的に位置付けまして,本市総体として取り組んでいく必要があると考えております。また関係各局における観光関連事業の連絡調整などを行うため,庁内に京都市観光推進会議を設置しまして事業の推進を図っているところでございますが,今後におきましても,観光基本構想に示された事業について計画的な取組が可能となるよう更に努力いたしてまいります。 次に京都の観光を取り巻く状況についてでありますが,御指摘のとおり厳しいものがあると考えております。こうした状況の中で,京都観光の振興を図るためには,千年にわたる日本の政治,経済,文化の中心としての集積を一層生かしますとともに,観光の京都経済に及ぼす影響や文化の交流へのかかわりに留意しまして取組を進めていく必要があると考えております。このため京都市観光基本構想をベースとしまして,市民生活との調和を図りつつ,観光文化情報センターの設置やコンベンションの誘致など,積極的な観光施策の推進に努めてまいる所存でございます。 衣笠から嵯峨に至る地域の観光振興についてでございますが,御案内のとおりこの地域は多様な観光資源に恵まれており,更に周辺にはJRなどの鉄道や市バスなどの公共交通が整備されております。こうした交通機関を活用して京都のすばらしさを歩いて味わっていただくことが観光と市民生活との調和の視点からも望ましいものと考えております。今後衣笠,宇多野,嵯峨を散策中心の一体的な観光ゾーンとして更に発展させるために,歩道や案内標識など歩く観光のための諸条件や宇多野ユースホステルの多角的活用などについて研究してまいりたいと考えております。 地下鉄東西線の二条駅以西への延伸につきましては,運輸政策審議会の答申におきまして,二条西大路間は平成17年までに整備すべき区間として,また西大路洛西間は平成17年までに整備に着手すべき区間として位置付けられておるところでございますが,右京区,西京区地域における交通の実態を考えますと,できる限り早期に取り組むべき重要な課題であると認識いたしております。現在第1次事業区間として進めております醍醐二条間の建設工事の進捗を見極めつつ,また地下鉄建設の前提となる道路整備の状況も見ながら事業化に向けて調査検討を進めてまいる所存であります。 右京地域の文化会館の建設についてでございます。本市におきましては,市民が文化を創造し,その向上を図るための場となります文化施設の整備につきまして,中規模文化圏構想に基づき文化活動の拠点となる地域文化会館の建設を順次進めておるところでございます。御指摘の文化会館の建設用地につきましては,このほど地権者からの用地の提供について基本的な御承諾をいただくことができました。したがいまして,今後取得に向けて努力し,早期に建設ができますよう計画を推進してまいります。 区役所出張所の新設についてでございますが,現在の出張所は,いずれも本市への編入時の経過などにより存続設置いたしているものであります。区役所業務につきましては,今日の情報化社会にあって,住民基本台帳事務及び印鑑登録事務の電算化を行い,どこの区役所,支所等からでも交付が受けられるようにすることが時宜にかなったものであると考え,そういう方向で市民サービスの向上を図ってまいったところでございます。今後とも情報化社会が更に進展する状況にありますので,他都市が設置しているターミナルなどのサービスコーナーの例なども参考にしながら,市民サービスがより容易に受けられるよう更に研究を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) まずまちづくり審議会の答申を踏まえました新しい条例につきましては,三山保全の趣旨を踏まえまして,調和のとれた緑豊かな都市環境を保全することを基本的な考えといたしておりまして,できるだけ広い保全森林の確保や,あるいは2次開発の規制,また悪質な違反に対する厳しい罰則の適用などが検討課題でありますが,現在関係法令との整合性について検討を行うなど,その取組を進めているところでございまして,できるだけ早く制定してまいりたいと考えております。 次に伝統的建造物群保存地区につきましては,本市では4地区を指定しておりますが,これらの地区では,地元の皆さんの協力を得ながら保存計画に基づき補助金制度を設けて伝統的な町並みの保存に努めております。現行制度におきましては,地元の皆さんの経済的な御負担が大きいものと認識しておりますので,今後とも国に対しまして補助金の増額を要望いたしますとともに,本市補助金制度の改善につきましても検討してまいりたいと考えております。 次に嵯峨鳥居本の伝統的建造物群保存地区では,地元の皆さんや一般観光客に地区の特色や保存事業について紹介,展示する施設として町なみ保存館の整備を進めておりますが,地区の下水道工事完了後の復旧に当たりましては,可能な限り地域の環境にふさわしい舗装等を考慮してまいりたいと考えております。更に電柱,電線類や照明灯の整備につきましては,今後地域のよりよい景観形成の向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に本市における道路整備につきましては,これまでから鋭意進めてきたところでございますが,御指摘のとおり市の周辺部において後れている現状にございます。とりわけ右京区におきましては,南北幹線道路の整備が後れており,現在葛野大路をはじめ西小路通や嵯峨駅北通の整備を進めているところでございます。また東西道路につきましても,太子道通や葛野西通の整備を進めておりまして,今後とも幹線道路の連携を強化するため,順次道路網の整備を図ってまいりたいと考えております。 次に西京極総合運動公園についてお答えいたします。まずプールの整備についてでございますが,御指摘のとおりプールの建設は,要望も強く,50メートル公認プール等が是非必要であると認識しております。現在,用地買収もプール建設用地を優先して進めており,早期に建設が可能になるように努めてまいりたいと考えております。 次に用地の取得状況についてでございますが,計画面積3.6ヘクタールに対しまして現在36パーセントの買収が完了しており,平成4年度末には約46パーセントの進捗を見込んでおります。今後につきましても,厳しい財政状況の中ではございますが,財源確保に努めるとともに,なお一層の促進を図ってまいりたいと考えております。 また拡張区域のプール,多目的広場,駐車場等の施設計画につきましては,今後用地買収の進捗状況を勘案しながら,その具体的な内容について基本設計を取りまとめ,施設建設の早期完成に努めてまいりたいと考えております。なお地下駐車場は,今日の財政事情を勘案いたしますと困難な状況にございますが,将来の課題として研究してまいります。当面の対応といたしましては,駐車場スペースを平面でできるだけ広く確保してまいりたいと考えておりますので,よろしく御理解いただきたいと思います。 ○議長(川中増次郎君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) まず高校教育についてでございますが,公立高校に対する生徒,保護者の期待と信頼にこたえるため,進路保障を目指した様々な取組を強力に進め,ここ数年は,普通科での現役大学合格者の大幅増加等着実な成果を上げてきております。しかし高校進学率が95パーセントを超える中での多様な生徒の入学,私学志向の高まりなど,なお多くの課題を抱えております。このため来年度から普通科Ⅱ類の入学希望枠を100パーセントに拡大し,生徒が希望に基づいて主体的に学習に取り組める条件を整備するほか,新設する京都市立紫野高校英文系でも大学への進学希望に的確にこたえつつ,国際社会で大きく活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。今後とも生徒,保護者の信頼にこたえるため,各高等学校とともに全力を傾注する考えであります。 次に幼児教育センターの建設についてのお尋ねでございますが,近年の核家族化,少子化など社会環境の変化の中で幼児教育の条件整備は極めて重要な課題であります。御指摘のとおり若い世代の親たちが安心して子育てができるよう,幼児教育についての総合的な取組が必要であります。そのため公立,私立の幼稚園の連携を深めるとともに,保護者,市民の子育てに関する情報や相談や,教職員の研修の充実などを図るための幼児教育センターが必要であると認識しております。その建設について検討してまいりたいと考えております。 私立幼稚園教育の振興についてでありますが,幼稚園児の9割以上が通う私立幼稚園の重要性にかんがみ,これまでから保護者負担軽減のための就園奨励費や教材費助成をはじめ教職員の研修事業やPTAの家庭教育セミナーへの助成など行ってきており,特に昨年度来その充実改善に取り組んできたところであります。幼児教育の一層の充実を図るためには,引き続き助成措置の拡充が必要であると考えており,努力してまいりたいと思っております。以上でございます。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 進行いたします。 次に,市政一般について,富田征義君に発言を許します。富田君。 〔富田征義議員登壇(拍手)〕 ◆(富田征義君) 京都は三方を緑豊かな山に囲まれ,まちの中央を鴨川,桂川が貫流する山紫水明の都であり,伝統を引き継ぎ,歴史に磨かれた文化や産業が脈々と息ずく1200年の古都であります。一方,京都のまちには146万市民が住み,豊富な人材を有して伝統を生かした中にも先端産業を生み出す力を持った近代都市でもあります。 この魅力にひかれて年間4000万人もの観光客が訪れます。しかしながら我々にとって,この京都は本当に住みよいまちでしょうか。歴史や伝統に埋没し,これがため余りにも規制が働き過ぎてはいないでしょうか。ここ数年,都市の在り方についていろいろと論議があり,京都の都市像についても多くの方々が様々な観点から述べておられます。その中には21世紀を望む都市展望もなく,ただ単に昔日の京都を保存するだけの博物館都市であればよいという意見も聞きますが,私はそうであってはならないと思います。 現在の居住構造の問題や家屋の老朽化,更には地価の高騰などが影響して人口の流出,特に若年層の流出が進み,一層高齢化に拍車を掛ける結果となっており,また経済面では,その活性化が遅れております。経済は,本来,経国済民,すなわち国を治め民を救うのが経済であり,財政面における本市の経済の活性化は重要課題であります。このままでは京都は取り残されてしまうのではないでしょうか。関西国際空港が開港すると,京都はますます国際化に後れを取ることになりはしないか懸念されます。 私はただ今,京都に対する現在の認識について述べましたが,物と心の調和のとれた真の国際文化観光都市でありたいと願っております。英知と勇気と情熱を持って明るい豊かな京都の再生に思いをいたし,自由民主党京都市会議員団を代表して質問いたします。明快な御答弁をお願いいたします。 さて21世紀が指呼の間に迫る中で,今世の中は大きな激動期を迎えております。超高齢化社会の到来,技術革新や高度情報化の進展,グローバル社会化,地球規模に拡大した環境問題などが社会のあらゆる面に様々な影響を与えつつあります。また東欧の共産主義体制の崩壊などに見られる国際的な政治経済の枠組みの変化が見られることも,世界の動きが直接市民の暮らしにつながっている今日,我が京都の将来にとって決して無関係ではありません。 一方,最近の京都の状況を見ましても,人口の減少に加え,地場産業の低迷などによる都市活力の低下,道路交通網をはじめとする都市基盤整備の後れなど,早期に解決しなければならない課題が山積しております。田邊市長は,これからの京都のまちづくりの指針となる健康都市構想や,伝統と創造の調和した土地利用や都市景観のあり方を示したまちづくり審議会の答申を受けて,20世紀の京都のまちづくりの総仕上げとして新京都市基本計画の策定に向けて取り組んでおられるところであります。 新京都市基本計画は,こうした社会の転機にあって,京都のまちの将来の設計図を描くという大変重要な意義を持つものであり,優れた伝統を生かしながらもこれに埋没せず,現状の延長線上ではなく,新しい発想を持って市民が未来に夢を抱くことができる計画を提示しなければなりません。 私も新京都市基本計画審議会委員の一人として,全国,更には世界から注目されている京都のまちづくりに参画しているところでありますが,他都市がすばらしいコンベンション施設を建設し,また国際的なイベントを積極的に誘致しているのを見るにつけ,国際都市としての今後の京都の地位が危うくなってきているのではないかと懸念しているところであります。 確かに国際会議の開催件数は東京を抜いて全国1位となり,また京都を訪れる外国人観光客の数は,昨年過去最高を記録いたしました。しかし,こうした実績は,いずれも先人たちが残した遺産や大学の集積によるところが大きく,今後ますます国際的な都市間競争が激化する中で,世界の中の京都としてより積極的な取組が必要であると考えます。 また人々の生活や企業活動が広域化しており,京都のまちづくりは,単に市域内のことだけで考えるのではなく,人口260万人余を有する京都都市圏,更には近畿圏を視野に置いて計画を作成しなければなりません。特に近畿圏において大阪ベイエリア開発の動きが活発化しており,ややもすると近畿圏におけるベイエリア一極集中といった事態の発生という懸念もなきにしもあらずと思います。 豊かな歴史,文化や自然に恵まれているという共通点を持つ京都,滋賀,奈良地域が力を合わせて実効性のある壮大な文化圏構想を持ち,大阪ベイエリアとともに近畿圏全体の発展,我が国の文化の高揚を先導する気概を持って計画を策定することが必要と思いますが,こうした点に関し田邊市長の御所見をお伺いいたします。 更に新京都市基本計画が絵に描いた餅で終わらないためにも,強力な進行管理や事業推進体制の整備をはじめ,特に事業実施のための財源確保が不可欠であります。長期的な財政計画の策定や体制の整備について,市長の御決意をお伺いいたします。 また新基本計画は2000年までの計画とされておりますが,20年後,50年後を見通した転換期に立つ京都の再生をかけた緻密かつ大胆な設計図の基礎となり,生き生きとした明るい京都づくりのための基本計画でなければなりません。そのためには新基本計画の策定に引き続き,超長期の展望の下に21世紀に発展を続ける京都の姿を示すものとして京都市基本構想の見直しを始めるべきであると考えますが,併せてお答え願います。 次に新京都市基本計画での部門別計画の中で,多様な分野の理想が掲げられております。この実現には莫大な財政支出が必要となってきますが,この財源確保のためには活発な産業活動が不可欠であると考えます。策定に当たって産業をどのように位置付けているのか,都市経営の観点に立って市長の御所見をお伺いいたします。 また経済の安定を通じて市民に快適で豊かな暮らしを提供するために,製造業を中核とし,商業,流通業,サービス業などのバランスのとれた産業構造を持ち,かつ大企業から中小零細企業まで,それぞれが活力を発揮できる総合的な産業ビジョンが必要な時ではないかと考えます。この産業ビジョンの策定に当たっても,広く大学の研究者や産業界の参加を求め,京都の特性を最大限に発揮させたものとすべきと考えますが,併せてそのお考えをお聞かせください。 次に新京都市基本計画の基礎となる土地利用と都市景観のあり方を考えるまちづくり審議会答申において,市域を自然,歴史的景観保全地域,調和を基調とする都心再生地域,新しい都市機能集積地域の3つに大別し,めり張りのある保全,再生,創造のまちづくりの方向が示されております。 リニア中央新幹線,第二名神高速道路等の国土交通軸や,関西国際空港,学研都市といった21世紀に向けて取り組まれている大規模プロジェクトは,いずれも京都市の南にあり,今後,国土軸は南にシフトすることが予測され,これらのプロジェクトとの接続機能を担う市南部の潜在価値はますます高まっていくものと考えられます。この地域を将来の京都の発展を担う地域として,いかに計画的に誘導するかが今後の大きな課題であります。とりわけ十条通以南の油小路通を中心とした地域,洛南新都市などの高度集積地区は,高度情報機能,流通機能,商業,業務機能の集積と併せて,文化,スポーツ機能の集積を図り,市南部開発の中心核としての整備が必要であります。また,これらに隣接する水垂地区は51ヘクタールの面積を有する市有地であり,土地の制約条件の強い本市に残された貴重な財産であります。 洛南新都市は,構想発表後7年を経過しましたが,ほとんど進んでいないのが現状であります。ここで油小路沿道,水垂地区を含めた整備計画を策定して21世紀の新都市開発の新しいコンセプトを確立し,強力な推進体制の下で,例えばパリのデファンス地区などに匹敵する都市づくりをされるといった構想も必要であると考えますが,市長の御所見をお聞かせください。 そこで私は,市南部の開発の起爆剤として,京都市でオリンピック級のビッグイベントの開催を提案いたしたいと思います。近年,都市の活性化を目指して多くの都市がそれぞれ工夫を凝らした取組を行っています。こうした都市間競争の激化の中で,特に各都市は国際的なビッグイベントの開催誘致に力を入れておりますが,京都府や大阪市などは2002年,サッカーのワールドカップ誘致に名のりを上げておりますし,また大阪市は21世紀初頭のオリンピック誘致の検討を行っていると伺っております。 こうした国際的なビッグイベントの誘致は,開催都市の名前を世界に知らしめるとともに,都市整備に対する国の支援が得やすく,また目標年次に向かって市民や関係機関の力が結集できることから,イベント,コンベンション施設の整備はもとより都市基盤整備の推進力として極めて有効なことは,大阪での花と緑の万国博覧会の例を挙げるまでもなく周知の事実であります。 京都市は,2年後の1994年に平安建都1200年記念事業を実施しますが,これに続くビッグイベントを21世紀の初頭に開催してはいかがでしょうか。場合によっては,近畿圏でのオリンピックの共同開催も検討してはいかがでしょうか。 オリンピックは現在,都市単位での開催が原則ですが,経費の増大や環境問題による施設新設の困難化の中で,広域的なエリアでの開催の可能性も探られていると聞き及んでおります。こうした国際的なビッグイベントの準備には相当の期間が掛かり,今から取り組んでも決して早過ぎることはありません。どうか京都に夢を与えてください。市長の御見解をお伺いいたします。 次に本市の大規模プロジェクトについてお伺いいたします。まず山科駅前地区市街地再開発事業についてでありますが,山科駅前地区は,かつては歴史的に見ても京都市の東の玄関口として交通の要衝の地でもあり,山科醍醐地域の中心地として繁栄を続けてまいりました。ところがその後,都市基盤整備をはじめとしたまちづくりがなおざりにされてきた結果,まち全体が近代化に乗り遅れ,一番立ち後れているのが今の山科の現状であります。このことについては,京都市としても大きな責任の一端を担うべき事実ではないでしょうか。 このような歴史的経過のうえに立って,山科醍醐地域住民は,山科のにぎわいを新しい近代化のまちづくりの中で取り戻し,そこから生まれる地域経済の発展により,住みよい豊かなまちづくりをしようと長年願ってきたのであります。このような観点から,現在市として非常な努力で取り組んでおられる山科駅前の約2.8ヘクタールの再開発事業と地下鉄東西線事業の円滑な推進,更には新十条通の早期建設など,いずれをとっても関係住民にとっては一時もゆるがせにできない大きな期待の掛かった関心事であり,山科醍醐地域住民約20万人の将来に向けた大きな悲願でもあります。 ところがこの悲願達成がもう少しで現実のものとなろうとしている今日,いわゆるバブル経済の崩壊とともに,経済情勢が底をつかみにくい厳しい情勢にあり,せっかくの大規模プロジエクトが各地で難航しているとの声をよく耳にいたします。特に再開発事業においては,全国各地で事業そのものが見直しされるなど,関係住民にとってはその期待が大きいだけに大きな不安を持って見守っているのが現状であります。 そこで住民の長年の願いと夢をかなえるために,市長自らが先頭に立って計画どおりの早期完成に向けて,京都市の力を結集して山科駅前再開発事業の推進に取り組んでいただくことを切に要望するものでありますが,関係住民の不安を一掃するためにも,改めて市長の強い御決意をお聞かせください。 また佐藤助役は,担当助役として直接地元に出掛けられ,地元まちづくりの会との接触にも努められ,またキーテナント折衝の先頭に立って努力しておられると伺っておりますが,今日現在におけるキーテナント折衝などを含めた事業の見通しと,京都の東の玄関口にふさわしいにぎわいのあるまちづくり実現のための方策についてお伺いいたします。 次に山科駅前市街地再開発事業に関連する地下鉄東西線事業についてであります。平安建都1200年の平成6年度を目途に地下鉄東西線建設について,目下鋭意御努力願っているところであります。この地下鉄東西線建設には5大プロジェクト事業が関連しており,その中でも山科駅工区につきましては,いまだ着工に至っておらず,これが地下鉄事業のキーポイントを握っていると思います。 この山科駅工区につきましては,この9月市会で,地下鉄東西線は25工区のうち24工区で工事着手しており,未着工工区は山科駅工区のみであるが,市街地再開発事業の推移に任せていると平成6年度内の完成に遅れを来すことになるので,22メートル道路部分を借地又は買収して今年度中に地下鉄工事を始めていきたい。また市街地再開発事業と地下鉄事業との調整も図っていくと答弁しておられます。 市街地再開発事業としては9月に権利変換計画案の縦覧も終えられ,その後は意見書の処理を行い契約に取り掛かると伺っておりますが,今後の見通しと地下鉄事業とのかかわりについて佐藤助役にお伺いいたします。 私は,この駅前事業とのかかわりの中で,平成6年度の完成が予定どおりできるのか危惧いたしております。目標年次である平成6年度に地下鉄東西線が開通するのか,具体的な工程と併せて,改めて市長の決意をお示し願いたいと思います。 次に新十条通をはじめとする京都高速道路についてであります。今日,市内各所に発生する交通渋滞は都市機能を低下させ,更には京都自身のポテンシャル低下の大きな原因ともなっております。それは人口の減少,大学や工場の流出に顕著に影響しているのではないかと思います。 この重要な都市問題を打開するために,京都市内の交通混雑を抜本的に解消し,京阪神都市圏の一体化を図る京都高速道路は,将来の京都のまちづくりの骨格をなすものであり,その発展に必要不可欠の都市施設として,その取組を強化し,体制を充実して早期完成に万難を排して邁進されるよう強く要望するものであります。 そこで特に京都高速道路の主要部分を占める新十条通についてお尋ねいたします。新十条通は,山科醍醐地区と都心部を結ぶ延長約2.8キロメートルの稲荷山をトンネルで貫通する高速道路で,事業主体としては阪神高速道路公団が予定されているものであります。山科地区の発展は,歴史的課題となっている都心部への交通網整備の解決に掛かっていると言っても過言ではありませんし,新十条通の完成なくして京都の躍進などあり得ないのであります。 昭和51年に山科住民の総意として新十条通の整備促進を市会に請願し,昭和52年採択されたという経緯があります。しかしながら,その後一向に整備の取組はなされず,10年後の昭和62年8月にやっと都市計画決定がされ,遅々としながらも一定の進展を見たところであります。それ以来5年経過いたしました。京都高速道路は,最初に新十条通から着手すると聞き及んでおりますが,しかし現在に至っても早期事業着手の具体的方針が明確になっておらず,山科醍醐地域住民の一層の不安と不信を募らせている今日であります。 我が自由民主党市会議員団も,新十条通の早期実現は京都市政の最重要施策と認識し毎年強力に要望してまいりました。去る8月,平成5年度国家予算の概算要求に阪神高速道路公団が新十条通の着工準備費を要求したことは御案内のとおりであります。 そこで現下の社会的諸情勢は,日米構造協議の大型公共事業投資計画による社会資本の整備推進,第11次道路整備5か年計画の策定等,また京都市においても新京都市基本計画の策定,びわこ空港構想への対応など新十条通事業化の環境は成熟し,事業着手は今が絶好の機会であり,事業化の成否は他の京都高速道路計画に決定的な影響を与えるものであると考えます。この機を逸しては,幻の新十条通として永久に実現を見ないでしょう。 20万人山科醍醐地域住民の願いを実現し,豊かで快適な市民生活を享受するために,新十条通の早期完成を京都市の総力を挙げて取り組むべきであると考えますが,田邊市長の御所見をお伺いいたします。 次に観光行政に関連してお伺いいたします。来る12月1日から京都ホテルの改築工事に反対している京都仏教会が京都の景観破壊を理由に清水寺など7か寺の拝観を拒否する方針を示しております。京都ホテルの改築工事につきましては,昨年12月に当初の計画どおり工事が着手され,京都仏教会は,これに対し工事差止めの仮処分を京都地裁に申し立てたものの却下され,改築を認めた総合設計制度導入の許可処分と建築確認の取消しなどを求める訴えの提起をするとともに,観光客と門前土産物店を巻き込んだ形での拝観拒否戦術を採られようとしていることは誠に残念なことであります。 今回の拝観拒否は,京都ホテル関係の宿泊者を対象とした限定的なものとはいえ,観光収入が伸び悩む中で京都観光のイメージダウンや関連業者への影響が懸念されているところでありますが,これへの対応について薦田助役にお伺いいたします。 更に公称千か寺のうち一握りにすぎない京都仏教会のこうした行動に,度々振り回される根本的な原因として,近年,京都がややもすると伝統に埋没して世界に誇り得る新しい観光資源を作り出す努力を怠ってきたことがあるのではないかと考えます。そうしたことが一部観光社寺に甘えを許す原因になっているのではないでしょうか。 確かに先人たちの残した京都の文化,観光のストックはすばらしいものであります。都市が生きているものであるとすれば,やはり保存だけでは駄目であり,その時代の最高のものを作り出していく創造性が必要であります。京都が1200年の長きにわたって我が国を代表する国際的な文化都市であり続けられたのも,そうした進取の気風があったからこそであります。この点についての市長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 また京都市は,慢性的な財源不足に悩まされており,今後も多額の財政需要が予測されることから,古都税紛争解決の際,今後の協力を約したいわゆる観光社寺等からの協力も含めた財源づくりについて併せてお尋ねいたします。 次に同和問題についてお尋ねいたします。私たち自由民主党京都市会議員団は,議員団内に同和問題研究会を設置し,これまでからこの問題の解決を図ることが最重要課題であるとして,その取組を進めております。 京都市は,昭和26年のオールロマンス事件以降40年にわたり基本的人権にかかわる課題として積極的に同和行政を推進し,先進都市としての役割を果たしてこられました。しかし今日,京都市の同和行政上,多くの課題が山積していることは率直に認め反省しなければなりません。本年3月31日に地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律,いわゆる地対財特法が5年間延長され,既に7箇月余りが経過いたしました。この延長された地対財特法は,5年を期限に一般対策への円滑な移行のための具体的な仕組みとして,一部事業については3年間で繰上措置を採り,また真に必要な事業に限定し事業の実施をすべきとして,政令55事業のうち30事業を継続,15事業を条件付継続,10事業を廃止するという見直し措置が採られたところであります。こうした国の同和行政についての厳しい見直しの動向がある中で,本市同和行政は,今日一向に進展していないのが現状であります。 本市会としても2月市会定例会において我が党提案により法的措置を継続した後,同和問題の根本的解決を目指すため,事業終結のための経年度計画の策定や主体性ある行政の一層の推進並びに部落解放基本法制定要求国民運動京都府実行委員会からの脱会を直ちに実行すべきであると決議しているところであります。 環境改善事業においては,620億円以上の残事業があると試算されております。延長された地対財特法においても早期完了の必要性が盛り込まれておりますが,昨年の予算執行状況を見ましても,環境整備事業予算については執行率が70パーセント前後であります。5年間で事業終結するため確実な執行管理の具体的進行について,どのようにされるのかお答えください。 また主体性ある行政の一層の推進のためには,個人給付的事業や同和保育料並びに住宅家賃等の是正に努める必要があります。個人給付的施策については,地区住民の生活状況の変化により一部行き過ぎたものとなって,地区住民の自立向上を促すための本来の意義が失われている面もうかがわれます。 特に同和保育料については,平成元年に段階的改定が打ち出されましたが,今日まで一向に次の段階への改定が進んでおりませんし,昭和53年改定の改良住宅家賃についても暫定家賃のままとなっております。このようなことでは市民の理解,合意を得られる同和行政とはなり得ていないと思いますが,今後どのように見直されようとしているのかお聞かせください。 このことに関しては,2月市会の我が党同僚議員の質問に対し,本年中に一定の方向付けを行うと答弁されております。現在どのような状況ですか。もうあとわずかしかありませんが,以上のことについて薦田助役の御答弁を求めます。 次に部落解放基本法制定要求国民運動京都府実行委員会からの脱会についてでありますが,この8月に,本市は府下自治体で構成する同和対策推進京都行政連絡協議会として実行委員会に加盟することになったと説明を受けております。しかし我が党議員団は,去る10月に平成5年度京都市予算編成に対する要望で,平成9年までの限時法である地対財特法の期限後において,この種の特別立法は必要でないとの立場から,いわゆる基本法制定を目的とする団体には加盟しないことと求めているところであります。重ねて要望し田邊市長の御見解を求めます。 次に教育問題についてお尋ねいたします。教育は,21世紀に向けて我が国が創造的で活力ある文化の薫り高い国家として発展し,世界に貢献していく基礎を築くものであり,我が国の将来は教育の成果に帰するものであります。このために我が自由民主党は,個性や創造性を伸ばし,歴史と伝統に誇りを持ち,時代を担うにふさわしい日本人としての自覚に立って,国際社会で活躍し貢献できる心豊かでたくましい青少年の育成を目指し,教育改革を積極的に推進しているところであります。 京都市においても,各学校において校長先生をはじめ熱心な先生方が一枚岩となって文字どおり泥まみれになって取り組まれている姿に大変心強い思いをしているところであります。しかしながら教職員の一部には,日曜日の授業参観の実施をはじめとする様々なすばらしい教育活動に反対するなど,教育者としてあるまじき行為を平然としてやるケースも見受けられるようであります。こうした行為は,日ごろから昼夜を問わず子供たちの望ましい成長のために熱い情熱を持って教育活動に励んでいる多くの先生方の努力に反する行為であります。 私は,正当な組合活動を否定するつもりはありませんが,日ごろからサボることばかりを考え,子供たちのために果たさなければならない義務は最小限に抑え,権利のみを主張し,いたずらに校長への反発を繰り返す,こうした一部組合活動家の非常識な行為は断じて許されるべきではありません。とりわけ人生の大きな節目として厳粛に挙行しなければならない入学式や卒業式における国旗日の丸の掲揚や国歌君が代の斉唱に反対する姿勢では,国際社会を担って立つ子供たちを尊敬され信頼される人間として成長させるために重要な取組である教育を任せることができないものであります。 国歌君が代の問題については,11月4日に,いわゆる君が代訴訟の判決があり,原告の請求は棄却,一部却下という当時の校長先生方をはじめ教育委員会の全面勝訴という内容であったわけですが,このことは極めて強い反対運動に対しても毅然とした姿勢で,あるべき姿を求め並み並みならぬ努力をされた結果,正しいことは必ず認められることが証明されたものであり,当時の校長先生方の御苦労に改めて敬意を表するものであります。 判決を見ましても明らかなように,学習指導要領に基づき国歌君が代を指導し斉唱させることは,目まぐるしく移り変わる今日の社会情勢の下で,日本人としての自覚を養い国を愛する心を育てるうえで重要な教育活動であります。にもかかわらず卒業式の国歌斉唱の際に,子供たちが回りをきょろきょろし,先生の顔色を見ながら起立するというかわいそうな姿を見掛けますことは,教師が満足に国歌君が代をどうして歌うのか子供たちに教えていないという現れではないでしょうか。京都市には,そのような教師は要らないのであります。 私は,21世紀に今の子供たちが京都市の公立学校で教育を受けたのだと誇りを持てるような教育をすべての学校で展開していただきたいのであります。校長先生を中心とした正常な指導体制の下で,子供たちに限りない愛情を持ち,しかも情熱と良識を持った先生方による教育が行われてこそ,子供たちが喜んで通い誇りを持つことのできる学校というものではないでしょうか。 すべての教師が子供たちに愛情を持ち,情熱と良識を持って体当たりで教育活動に取り組む,そんな姿勢を身に付けてもらうため,教育委員会として教職員の資質向上対策にどのように取り組んでおられるのか,また国旗,国歌に対する指導を今後どのようにされるのか,教育長に明快な答弁を求めるものであります。 次に子供たちの道徳教育についてであります。社会情勢がますます複雑化する中で,私たちが好むと好まざるとにかかわらず生活を変え,子供たちの余暇の過し方を変え,人々の物の考え方までも変えてしまう状況にあります。こうした社会の急激な変化に主体的に対応して生きていく子供たちを育てていく営みである教育においては,今,失いつつある日常生活における基本的生活習慣や望ましい人間関係を形成していくことが大切であり,確固たる自分の生き方を持った人間の育成を図ることが求められております。残念ながら現在多くの事例に見られるように,自己中心的で相手の気持ちや立場を考えようとしない子供が増えてきており,今こそ新たな道徳的実践力の育成が急務ではないかと思われます。 私は,子供たちや子供たちを取り巻く社会状況の中で,学校教育における道徳教育は,豊かな心を持ち,たくましく生きる人間を形成するうえで極めて重要な役割を担っており,今日,道徳教育に寄せる市民の期待はますます大きくなってきていると考えております。 今回改定された学習指導要領においても,心の教育が重視され道徳教育の指導の充実が改定の核の一つとなっております。自分が人間としてどう生きるかという生き方について自覚を深め,生涯を通じて追究していけるようにとの狙いがその根底にあると思います。京都市の子供たちが全国に負けない道徳実践力を身に付け,健全な心で21世紀の京都の担い手となるよう,京都市における道徳教育の充実を図るための具体的な取組みについて教育長にお尋ねいたします。 以上をもちまして私の質問を終ります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 富田議員の質問にお答えいたします。 新京都市基本計画についての御質問がございました。新京都市基本計画では,まちづくりの基本方針の一つに広域的視野からのまちづくりを掲げ,本市の広域的な役割を明らかにしてもらいたいと考えております。特に京都,滋賀,奈良地域につきましては,第二名神自動車道やびわこ空港の建設計画,関西文化学術研究都市の進捗など,今後一体となって発展する可能性のある地域でございます。このため関係自治体が協力して,この地域の将来のあるべき姿を考え,豊かな歴史,文化,自然の蓄積などの共通点とそれぞれの個性を生かした地域全体の発展を目指す中で,近畿圏,更には我が国の発展に貢献する文化首都圏づくりに向けまして共同研究の取組など積極的に働き掛けてまいりたいと考えております。 次に新京都市基本計画の推進につきましては,その強力な推進が熱心に御論議いただきました審議会の委員の皆様方や市民シンポジウムの参加者をはじめ,146万市民に対する私の責務であると認識いたしております。このため主要事業についての年次計画の策定や市政白書の発行など計画を推進していくための進行管理体制を確立したいと考えております。これと併せまして,国などに京都の果たすべき全国的,世界的役割を訴えるなど財源の確保に努め,新京都市基本計画の実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に京都市基本構想の見直しについてでございます。本市におきましては,人口や産業の流出,町並み景観の変容など緊急に取り組まなければならない課題が山積しております。いわば20世紀の京都づくりの仕上げを目指すものとしまして,新京都市基本計画の策定を進めておるところでございます。現行の京都市基本構想は,西暦2000年を目標年次としておりますが,御指摘のように1200年の歴史を持ち,全国,世界からも注目されております京都のまちづくりは,超長期の展望に立って幅広い視野の下に取り組む必要があり,新基本計画の策定に引き続き,21世紀に発展を続ける京都のグランドビジョンとして京都市基本構想の見直しの準備に着手する必要があると考えております。 新基本計画の策定に当たりまして,産業の位置付けについての御質問であります。産業は,市民に対して職場と所得を提供し,豊かな暮らしを確保するために不可欠なものでありますと同時に,本市にとっても貴重な財源を生み出す重要な都市活動であると考えております。京都は,我が国有数の工業都市,商業都市でありますと同時に,年間4000万人の入洛客を受け入れる観光都市でもあります。そのため新基本計画の策定に当たりましては,産業を京都の活力の源泉をなす大きな要素として位置付けまして,その担い手となる多彩な人材の育成と定着,情報の創造,発信機能の強化,京都ブランドの確立による高付加価値化,交通立地基盤の整備などを進め,物づくり都市としての伝統を生かしながら産業の活性化を目指したいと考えております。 産業ビジョンについてお答えいたします。現在京都市では,21世紀に向けて生き生きとした活力あふれるまちづくりを進めていくために,新京都市基本計画の策定に取り組んでおりますが,この計画の実現に当たりましては,御指摘のとおり製造業を中心とした産業の振興が不可欠であります。更にその産業振興を効果的に推進しますためには,京都産業のあるべき姿を設定し,それを実現するための具体的な政策展開を明示した長期的かつ総合的な産業振興ビジョンが必要であると考えております。ビジョンの策定に当たりましては,京都市地域活性化懇談会をはじめ産業界など幅広く御意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。 次に京都市南部地域は,21世紀の京都の発展を担う地域としまして高度情報機能,流通商業業務機能,文化機能などの複合的集積を誘導するための基盤整備を進めていく必要があります。このため油小路通沿道などの高度集積地区の整備につきましては,今後周辺の広域プロジェクトとの整合を図りながら地区の将来ビジョンを明らかにして,その土地利用計画などを策定し,新しい都市機能の集積に向けて計画的な誘導を図ってまいりたいと考えております。その際,洛南新都市につきましては,21世紀の京都の南の玄関口にふさわしい新市街地を形成してまいりたいと考えております。また水垂埋立処分地につきましては,埋立事業のこれまでの経過や今後の進捗を勘案しながら,本市の長期的な発展に資することを基本に跡地利用計画を策定してまいる所存であります。 オリンピック級のビッグイベントの開催についてでありますが,御指摘のとおりオリンピックなどのビッグイベントを開催いたしますと,その開催都市の名前を世界的にアピールさせることができ,都市イメージの向上や活性化にも大きく寄与するものと考えております。御提案のオリンピックの誘致につきましては,実現することができれば,これほどすばらしいことはありません。近畿圏としての共同開催の問題や財政上の問題など難しい課題があり,その可能性につきまして慎重に検討を行ってまいりたいと考えております。 山科駅前市街地再開発事業は,京都市の東の玄関口にふさわしい駅前広場や駅前通りなどをはじめとした公共施設の整備を行いますとともに,商業,住宅,業務機能を拡充整備し,山科醍醐地域全体の活性化の核となるまちづくりを目指すものであり,本市にとりまして重要なプロジェクトの一つであります。御承知のとおり経済情勢の先行きが心配される中で,本市の財政も非常に厳しい状況ではありますが,関係権利者のみならず地元の皆様方の大きな御支援と一日も早い完成に向けての御期待をいただいているところであり,あらゆる英知と努力を傾注して早期の完成に向けて取り組まなければならないと考えております。関係住民の皆様にはいろいろ御心配をいただいているようでございますが,私といたしましては,まさに不退転の決意で事業の推進に取り組んでまいる所存であります。 地下鉄東西線の建設につきましては,現在ほとんどの工区において本格的に工事を進めているところでありますが,特に山科駅工区につきましては未着工の状態であり,工程的にも厳しい状況であると承知いたしております。そのため関係局の協力によって早期に地下鉄工事に着手できるよう,特別な取組みを指示いたしておるところであります。またその他の数工区につきましても工程上厳しい状況にありますが,私自身,先日建設工事の現場をつぶさに視察し,厳しい条件の下での工事の状況を目の当たりにいたしまして,関係者の労苦をねぎらいつつ督励もいたしたところでございます。私は,厳しい状況の中ではありますが,建設工事が着実に前進していると改めて認識するとともに,その一日も早い完成が私の責務であると痛感いたしておるところでございます。 次に新十条通についてお答えいたします。新十条通につきましては,道路整備が後れております山科醍醐地域の住民の皆さん方にとりまして,その早期整備が長年にわたる大きな悲願となって今日まで経過いたしました。本市におきましては,これまでから国に対しまして本道路の早期着工を要望してまいりましたが,この度着工準備費が阪神高速道路公団によって新規要求されることとなり,事業化に向けての機運が大いに高まっております。本市といたしましては,この好機を最大限に生かし,国において確実に予算が認められますよう今後年末に向けて強力に要望活動を推進してまいりたいと考えております。また本道路の事業化に当たりましては,地元自治体として積極的に各種の事業促進策を講じ,全力を挙げてその早期完成を目指すことにより地域住民の皆さん方の御要望におこたえしてまいりたいと考えております。 新しい観光資源を作り出すことについてのお尋ねでありますが,京都観光の本質は,1200年の歴史にはぐくまれた京都の文化や文化財を見ていただくことにあると考えております。したがいまして,これら京都の観光資源を守っていきますとともに,更に新たな文化の創造を重ねていくことが京都を発展させ,また京都観光を振興させるために極めて重要なことであると理解いたしております。更に現在公開されております社寺にとどまらず,埋もれた資源の活用や大学のまち,伝統産業と先端産業のまちなど京都が持つ多様な都市特性を生かした取組を着実に行っていかなければならないと考えます。御指摘を踏まえて,国際文化観光都市京都にふさわしい観光資源の開発に一層の努力をしてまいりたいと考えます。 次に社寺等の協力についてでございますが,京都は,社寺を中心とした歴史的文化遺産や優れた景観に恵まれたまちであります。今後のまちづくりを進めるためには,これらの歴史的なストックを生かしながら新しい京都を創造していかなければならないと考えております。このためには,社寺をはじめ多くの方々の御理解と御協力を得ていくことが必要であると考えております。 部落解放基本法実行委員会につきましては,同和行政を円滑に推進するためには,国の法的財政的措置が必要であること,また人権擁護思想の普及,高揚を図るためには市民啓発が重要な課題であり,市民各界各層と連携して取り組む必要があることから本市として参画してきたものであります。しかしながら,今年8月の基本法京都府実行委員会大会におきまして,京都府及び府下全市町村で構成している同和対策推進京都行政連絡協議会の一員として参加し,京都市独自としては脱会したものであります。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) まず仏教会の一部寺院の拝観拒否への対応についてでございます。京都仏教会加盟の市内7箇寺が京都ホテル系列の宿泊客を対象といたしまして拝観拒否を行おうとしていることは,誠に残念なことであると考えております。今回の事態が京都観光に大きな影響を及ぼすことは現時点では考えられませんが,今後事態の推移を見守りますとともに,一方では観光客に対する誘致宣伝活動を通じて京都観光の一層の進展に努めてまいりたいと考えております。 次に同和対策事業の推進とその執行管理についてでございます。同和問題の早期解決に向けて各種の施策が有効,適切なものとなりますように常に点検,見直しを図り,事業の適正な執行に努めております。特に同和問題の解決をめざす京都市総合計画案に基づきます環境整備事業につきましては,現在約620億円の残事業を残しているわけでありますが,この残事業を一部地域を除いて5箇年間の地対財特法延長期限内に完了していくための年次計画をこの年度中に策定いたしまして,この計画に基づいて事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に個人給付的事業につきましては,住民の生活実態を的確に把握いたしますとともに,自立を促進する観点から具体的に点検,見直しを図りつつ実施いたしております。その一環として,来年4月から市立浴場料金の改定を行う予定であります。また同和保育料並びに改良住宅家賃につきましては,いずれも現在多くの滞納を抱えており,このため滞納料金を徴収することが先決であるという考え方の下に,督促,納入指導並びに法的措置を含む滞納整理に全力を傾注しているところでございます。改良住宅家賃につきましては,整理のめどがついた段階で早急に改定料金への移行に取り組んでまいる所存でございます。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 山科駅前市街地再開発事業についてでございますが,この事業は,単に建物や道路を造るということだけではなくて,将来にわたりまして発展的に成長しながら生き続けるまちづくりを目指すものでございます。このため商業施設のキーテナントなどの中核施設は,事業の重要なキーとなるものでございます。御承知のとおり経済情勢の低迷などの背景もあり,いまだ決定を見るまでには至っておりませんが,地元の皆さん方の御意見を踏まえながら,早期決定に向けて全力を挙げて折衝してまいる所存でございます。今後ともこの事業について広く各界の御協力もお願いしてまいりながら,地元の皆さん方の声を反映したにぎわいのあるまちづくりの達成に向けまして最善の努力を払ってまいりたいと考えていますので,よろしく御支援のほどお願い申し上げます。 次にこの市街地再開発事業の今後の見通しと地下鉄東西線建設事業とのかかわりについての御質問でございますが,市街地再開発事業につきましては,来年春には権利変換計画の決定を終え,秋には事業地区内の地上物件の除却につきまして地元の皆さん方に御協力をお願いし,順次施設建築物の工事着工に向けて取り掛かってまいる予定でございます。また地下鉄東西線建設事業につきましては,市街地再開発事業と同時施工を意図して事業を今日まで進めてきたところでございますが,両事業の工程が合致しないことから,地下鉄工事に必要な道路予定地でございます22メートル幅につきましては,必ずしも再開発手法によらないで,借地又は買収方式によりまして工事用地の確保をするなど,現在精力的にその交渉に取り組んでいるところでございますので,これもよろしく御支援のほどお願い申し上げます。 ○議長(川中増次郎君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) まず教職員の資質向上についてでございますが,本市の学校教育は,子供たちに愛情を持ち,情熱と良識を持った教職員の熱意あふれる教育活動によって支えられております。しかし残念ながら一部に御指摘のような状況があることも事実でございます。教育委員会といたしましては,全市的教育水準の向上を図るため,採用1年目の教職員に対する初任者研修をはじめ,経験年数や職務に応じた研修の充実に努めるとともに,校長を中心とした指導体制の下で,校内研修や全国レベルの研究大会,実践発表にも積極的に取り組んでまいっております。 教育は人なりでございます。今後とも教職員の情熱と使命感,実践的指導力の向上を図り,本市の学校教育に寄せられる市民,保護者の期待と信頼にこたえるため全力を挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。 次に国旗,国歌についてでございますが,国旗,国歌は,それぞれの国及び国民を象徴するものであります。子供たちが将来国際社会において尊敬され信頼される人間として成長していくためには,他の国や自分の国及びその相互関係について正しい認識を持ち,それらを尊重する態度を育てることは重要な教育課題であり,国旗,国歌の指導は,その基礎としての役割を果たすものでございます。教育委員会といたしましては,こうした認識の下,学習指導要領に基づき指導に努めているところでございます。 子供たちが自らの国を愛し,家族を大切にし,学校や地域社会を愛し,民主的な国家及び社会の形成者として広い視野に立って国際社会に主体的に生きる国民に成長していくことができますよう今後とも国旗,国歌の指導の充実を図ってまいります。 道徳教育についてでありますが,今日の我が国におきましては,御指摘のとおり社会全体の風潮として道徳的実践力の稀薄化が憂えられております。教育は人間形成の理想を追求する営みであり,本市では,これまでから生命を尊重する心,他人を思いやる心,公共のために尽くす心などの育成を目指し,道徳の時間はもとより学校教育活動全般を通して道徳教育の充実に努めております。とりわけ教室での授業,勉強だけでなく,子供たち自身の活動を通じて得た感動体験を発表し合い,内面に根差した道徳性の涵養を図る,心をたがやす教育活動をすべての小,中学校で推進しており,子供たちも積極的に取り組んでおります。学校における道徳教育がますます重要になりつつある今日,その充実に一層努力してまいります。以上でございます。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 暫時休憩いたします。 〔午後3時20分休憩〕 〔午後3時50分再開〕 ○副議長(可児達志君) 休憩前に引き続き,会議を行います。-------------------------------------- ○副議長(可児達志君) 休憩前の一般質問を継続いたします。 次に市政一般について,藤原冬樹君に発言を許します。藤原君。 〔藤原冬樹議員登壇(拍手)〕 ◆(藤原冬樹君) 日本共産党の藤原冬樹です。私は,日本共産党市会議員団を代表して,田邊市長の政治姿勢と不況対策に絞って質問いたします。 世界の流れは,国民こそ主人公,民族は平等の方向に進んでいます。社会主義の運動の原点を踏み外したソ連,東欧体制の崩壊,アメリカでのブッシュ敗北に見られる資本主義の苦悩と混乱,そして日本の権力政党自民党の首脳部の金権腐敗,暴力団とのかかわりに見られるように国民不在の政治はますます混迷しています。 最初に佐川急便疑惑についてです。この疑惑事件は戦後最大で,自民党政治の底知れない腐敗ぶりを示しています。国民の怒りは,地方自治体が政府に上げた意見書の数でも明らかです。京都市会を含め全国で1475,全体の45パーセントで,こんなことは初めてです。 重大なのは,1000億円にもなると言われる佐川マネーが単なる企業利益のための献金だけでなく,政権まで買い占めるためのものであったこと。同時に自民党の一部政治家が市民生活の敵である暴力団と根深いつながりを持っていたことでありす。その根の深さは,暴力団が日本の首相が選出される過程にまで介入していたのですから,国民が驚き怒るのは当り前であります。 今,宮澤首相は何をしているのでしょうか。疑惑の政治家をかばうなど真相解明を妨害し,腐敗政治追及の国民の願いに対立しているではありませんか。宮澤政権に対する国民の批判が大きくなるのは当然です。宮澤政権は今や退陣すべきではないでしょうか。 さて京都ではどうでしょうか。府議会の自民党議員団は,佐川疑惑徹底究明の意見書に反対しました。竹下派の地元代議士への配慮があったことは否定しないと自民党府議団の副団長が述べたと,10月14日の朝日新聞は報道しています。事実であれば世論を逆なでする発言ではないでしょうか。 金丸氏は,見えすいた疑惑隠しで病院へ入りましたが,あの5億円の金はどう流れたのか,また3年前の京都市長選挙のとき,一時立候補を予定した保守系の方に佐川の金2億円が動き,その要請の席に地元の自民党代議士が同席していたと8月31日の読売新聞で報道されましたが,事実であればそれは誰か。これらも含めて佐川疑惑の徹底解明が求められているのであります。 京都市会は,佐川急便疑惑の徹底解明,企業,団体献金など政治資金の在り方の検討を含む意見書を全会一致で採択し政府へ送りました。市長は9月議会で,政治家の一人として誠に残念と述べられましたが,大変あいまいな発言です。市民とともに疑惑の解明,金権腐敗の政治を正していく確固とした姿勢をお示しいただくことが必要であります。御答弁を求めます。 次にJR西日本に対する市長の姿勢についてです。JR西日本が計画する京都駅高層化計画は,高さ59.8メートル,横478メートル,祇園の八坂神社から鴨川までと同じ長さと聞くと誰もがびっくりする巨大なビルで,京都の景観を破壊する突破口だと批判が大きくなっていますが,同じJRが一方では百人一首で有名な小倉山にトンネル工事の残土を放置してきたのであります。 市長は11月11日,3億円の拠出と引換えに残土をそのままにしたJRの無法を認めました。新聞の投書で,市民は3億円はJRの誠意とのコメントにはあきれ果てた。これが市当局の責任ある言葉とは恐れ入る。これでよしとするなら,今後もし暴力団が同じことをやって10億円持ってきたらどうするのか。これは暴力団の誠意とでもいうのだろうかと怒りをぶつけておられます。 小倉山一帯は,古都保存法に基づく歴史的風土特別保存地区です。現状変更は一切認められません。例外も許されません。工事が行われたのは,JRが国鉄の時代でありましたが,小倉山を残土の仮の置場とすることは,当時の国鉄に原状回復を条件に特別許可されたものであり,JRに原状回復の義務と責任があるのは当然です。JRの無法は,総理府の行政監察でも違法行為と指摘されており,このような重大な法違反と責任放棄を許すわけにはまいりません。 ところが京都市は,小倉山のこの破壊行為を一条山,すり鉢池に続き追認しました。行政としてはまさに自殺行為で,今後の京都の景観行政にとって重大な禍根を残すものであります。古都法の特別地域としての厳格な規制を自ら投げ捨て,史跡名勝として全国に誇る文化財を破壊する京都市の態度は,法的にも社会的にも容認されるものではありません。その責任をどうお考えか,市長の明確なる答弁を求めるものであります。そして改めてJRが原状回復するよう強く再指導すべきであります。併せて責任ある答弁を求めます。 次に深刻な不況についての対策です。政府は,総合経済対策として10兆7000億円の過去最大の補正予算を組み,現在臨時国会に提案されていますが,それは主としてバブルを引き起こした張本人の大銀行と大企業の救済のためで,不況に苦しむ中小企業,業者,労働者が切実に求める不況対策とは程遠いものと言わなければなりません。 我が党議員団は,和装産業,陶磁器,機械金属,観光,料理飲食業など各分野を手分けして調査いたしましたが,実態は非常に深刻で,6月で半分,9月にその半分仕事が減った。単価が4割下がったが,それが嫌なら仕事はないと親企業に言われた。夏から全く仕事がない。売上げが5ないし7割落ちた。従業員の人件費が払えないので長男が働き,その人件費をカバーしている。生命保険を解約して食いつないでいる。40人の解雇が提案され,戦って食い止めたが仕事がほとんどない,など悲痛な叫び声が上がっています。 祇園では,スナックなど料飲業者が毎日のように廃業しています。松原警察署は100軒と言っていますが,その10倍はあるのではというのが地元の声です。今,円高不況をはるかにしのぐ戦後最大の不況が中小の業者,下請業者や労働者を襲っています。先日,中小業者の方が切実な要求を持って市に申し入れましたが,そのとき,ある方が,私たち中小業者は,日本の顔京都で文化や伝統を支え,府市民の暮らしをよくするために頑張ってきて,京都産業にも大きな役割を果たしてきたと思うと言われていましたが,私は深い思いでその言葉を聞きました。 このように京都のためにも頑張ってきた中小業者の方々が苦しんで市の援助を求めているとき,京都市は一体何をしてきたでしょうか。和装不況緊急融資や,融資の利息の若干の引下げは行われましたが,不況の波をかぶりやすい中小企業,伝統産業のまち京都ではもっと抜本的な対策が求められているのであります。市長の責任は重大であります。厳しい月12月を迎えようとしている今,市長は今の事態をどのように認識し対策を立てようと考えておられるのかお伺いいたします。 次に京都の中心産業である友禅染,西陣織など和装産業の緊急対策について薦田助役にお尋ねします。友禅業は,染屋を中心に約20から多いものでは30にも及ぶ工程で,それぞれ分業し,多くは家族単位で仕事をされているのであります。不況はそこを直撃し,たくさんの工程の一部だけを受け持っている業者を襲います。この形態は不況に一番弱く,深刻な実態が各分野に現れています。京都染色協同組合連合会の専務理事さんの話でも,仕事量は4分の1に減り,見通しが全く付かず,この深刻さは今まで経験したことがないと言われています。 そこでお伺いいたしますが,市は,友禅業の深刻な実態をつかんでおられますか。緊急の調査と独自の対策が必要と思いますが見解を求めます。 西陣では,8月の緊急融資について,西陣織工業組合が今後1年間,前年比20パーセントの減産実施が誓約されなければ融資できないとし,同時に帯地部会が土曜,日曜は休業することと通達を出したことによって減産に拍車が掛かり,多くの賃機業者,下請業者,労働者には休機,強制的な減産,工賃カット,出機の首切が進行し重大な事態となっているのであります。よかれと思ってやっても,出てくる結果に責任を持たないからこんなことになるのではないでしょうか。西陣織工業組合に対する行政指導を強化し,かかることがないよう,それこそ重心を下げたものにしなければならないと思いますが見解を求めます。 次に10月28日に発表され,先ほど議決されました第2次緊急融資についてであります。先の和装緊急融資を不況に苦しむ全業種に対象を拡大し,売上高が前年同期より10パーセント以上減少している業者としたことは前進でありますが,幾つかの問題点について薦田助役に質問します。 11月10日までの10日間に400件の相談があり,申込みは70件,その後も続々と相談があるようでありますが,その数字を見る限り,結果として事前チェックをして申込みを抑えているのではないかとの不安の声が広がっています。これでは緊急の救済にならないではありませんか。直ちに改善すべきですが見解を求めます。 この緊急融資の総枠は,府100億円,市は50億円とされています。これは全業種に対象を広げたこと,実施期間を11月から5箇月間にしている割には少ない金額であります。貸付枠を大幅に広げることを求めますがいかがですか。 保証人が1人,場合によっては担保が必要という条件についてであります。保証人が確保できたらとっくに融資を受けてますよ。私たちは調査の中で何度もこの悲しいつぶやきを耳にしました。今必要なことは,激甚災害並みに緊急対策が必要です。300万円までの小口融資については保証人なしとすべきですがどうですか。 次に現行の融資制度について薦田助役にお尋ねします。まず無担保無保証人融資制度についてであります。今,京都市の制度は限度額300万円,一定の条件を満たしているものは450万円となっていますが,現状には全く合いません。直ちに500万円にし,状況に応じて引き上げるよう求めるものであります。理事者は10月16日の委員会において,近く実施する旨の答弁をしておられますが,いつ実施されるのか,限度額を幾らにされるのかお尋ねいたします。 またこの融資の裏付けになっている法律,中小企業信用保険法の特別小口保険限度額が450万円に抑えられていることが問題で,これをせめて1000万円にすることが必要となっています。この点を政府に改善させるよう求めるべきでありますが見解をお伺いいたします。 現在のいろいろな融資制度の返済が困難な業者には,新たに返済の1年間以上の据置きと返済の繰延べ及び利子補給を行うことが必要です。川崎市では,経営安定資金融資に保証料2分の1補助することを9月から実施いたしましたし,また焼物のまち瀬戸市は,保証料を全額補助することを11月から実施しました。伝統産業と中小企業のまち京都が思い切ってこれらの施策に取り組むことが必要です。見解を求めます。 次に業者の皆さんの暮らしについても緊急対策が必要です。この間友禅の業者の方と懇談したとき,売上げが大幅に落込み,国保料が2箇月滞納した。区役所から督促の電話があったが,お仕事のことで心配はありませんかとは言ってくれなかった。冷たいものだと話されていましたが,市長,あなたはどう思われますか。今市役所内で経済対策連絡会議を持っていますが,せっかくの連絡体制を持っても,やる仕事が縦割りでは意味がありません。不況対策の総合的な窓口を設け,一件一件の相談に営業や国保,税金など,どの角度からも親切な相談に乗るようにすべきであります。市長の御見解をお示しください。 更に病気や景気の変動などによって休業を余儀なくされた場合でも,倒産を避け,中小企業の経営や伝統的な技術を守り発展させるために,今こそ休業保証制度を作ることが求められています。これは政府が,現行の小規模企業共済制度,倒産防止制度に雇用保険制度と同様の国庫負担を行えば可能です。政府に要求すべきと思いますがいかがですか。 同時に,市独自に不況生活つなぎ資金とでも言える緊急の資金制度を創設し,無担保無保証人,無利子で貸し付けることが必要です。これを求めておられる方は非常に多く,切実な要求です。京都市が思い切ってこの制度を緊急対策として行うように求めますがどうですか。 夏と歳末の特別生活資金の貸付けは,現在その限度額が1世帯15万円ですが,それは少なく,大幅に拡充することを求めます。受付を通年制にし,償還期限の改善を求めます。また返金が8割以上でないと次に貸付けを行わないことになっていますが,今の厳しい事態の下,その制限を取り払うなどの措置が必要と思いますがいかがですか。 暮らしの問題の最後に,この際,国保料の値下げ,都市計画税の引下げを直ちに行うべきであります。以上4点,薦田助役に伺います。 次に大企業の下請いじめをやめさせ,中小企業の仕事の拡大を図ることについてです。トヨタと堀場製作所の2次下請のある機械金属業者が言っておられましたが,10パーセントずつ2回単価の切下げを求められた。それ以上できないというと,パタッと仕事が止まり,今は1日仕事して4日休む状態だ。トヨタといえば,乾いたタオルをまだ絞るという言葉に象徴されてきたようなかんばん方式で下請を苦しめていますが,今この不況期を利用し,発注量を減らして値引き競争を押し付け,2次,3次下請の露骨な切捨てを進めているのが現状です。 下請企業や労働者を守るためには,大企業への政府の監督と行政からの指導を強めなければなりません。川崎市長が市域内にある75の大企業に親書を出し,経済局長らが回って下請の仕事の発注などを求めましたが,市長が言うのなら協力しようと14の企業が言ってきたとのことであります。これは中小業者を激励することであったと思います。緊急事態の下,市長自らが大企業や業界に働き掛けていただきたいと思いますがいかがですか。 加えて政府への緊急要請です。私ども市会は,10月9日に政府へ意見書を上げました。しかし残念ながら,市長はまだ政府に働き掛けていません。10月26日に市長は政府へ陳情されましたが,それは高速道路の建設についてだけでした。直ちに政府へ陳情され,中小企業庁など関係機関に要請されるよう求めますが見解を求めます。 さて伝統産業の現場で働く職人さんの技術と労働条件を守り,不況で休業や手待ちの状態に陥った場合に活用できる制度には,例えば雇用保険法による雇用調整助成金があります。これはかつて160業種が指定されていましたが,バブル景気の中で今日ほとんどその指定から外されています。この制度を活用し,早急に友禅,西陣織など深刻な和装業界に指定を行うよう京都市からも働き掛けることが必要であります。市としてどうお考えか,働き掛けておられるのか,薦田助役にお尋ねいたします。 最後に後継者対策です。現在,本市では,法律に基づく染織技術者研修,市単費の研修など5つの事業を行うとともに,後継者育英制度が実施されていますが,研修のための予算は6年間据置き,また育英制度も,今年度よりすべての業種にその対象を広げたとはいえ,募集枠は30名,金額年36万円,3年間と微々たるものであります。この枠を大幅に改善し,苦しい中にも青年が夢を持てるようにして欲しいというのが関係者の声であります。どのようにお考えか,薦田助役の御答弁を求めます。 さて先ほど自民党議員から,まじめに教育を取り組んでいる多数の教職員を著しく中傷する発言がありましたが,問題です。我が党は,君が代,日の丸の上からの押付けや新学習指導要領の撤回を求め,憲法と教育基本法に基づく豊かな教育を目指すべきだと主張しています。そのことを申し上げて,私の第一質問を終わります。(拍手)(発言する者あり) ○副議長(可児達志君) 静粛に願います。 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 藤原議員の御質問にお答えいたします。 まず政治腐敗防止についてでございますが,今回の政治資金や政治倫理にかかわる諸問題につきましては,国民に強い政治不信を与えたものであり,9月市会において答弁いたしましたとおり,誠に残念なことであり,遺憾なことであると考えております。今後政治腐敗防止に向けた抜本的な対策を一日も早く講じられ,国民の政治に対する信頼が回復されることを強く念願いたしております。 次に小倉山の残土問題についてでありますが,当初の計画どおり残土を搬出することは,搬出に要する期間,市民の日常生活に与える影響,また自然環境の保全などの点を考慮いたしますと,現状の下では極めて困難であります。早急に小倉山を緑豊かな山並みに回復させるためには,小倉山の山容をできるだけ元の山容に近い形に戻すという方法を採ることが現実に即した最善の方法であると判断し,他の法令との整合も図り許可したものでございます。 不況対策についてお答えいたします。和装をはじめ本市産業の景気後退は極めて深刻な事態にあります。したがいまして本市では,4月に経済対策連絡会議を設置しまして,制度融資の利率引下げや緊急特別融資などの景気対策に取り組んでいるところでありますが,今後も機動的かつ効果的な経済対策を講じてまいります。 不況対策の相談窓口の件につきましては,既に中小企業指導所に経営相談の特別窓口を設置し,経営体質の改善や資金計画の樹立,製品開発,事業多角化の促進などを専門家の協力を得て実施いたしております。またその他の相談につきましても,それぞれの所管窓口において対応いたしておるところであり,今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。 次に下請中小企業の仕事の確保対策についてでありますが,京都の産業界は,規模の大小を問わず生産調整を余儀なくされるなど全体としても極めて厳しい状況にあると認識いたしております。このため京都の地場産業が現下の状況を打開するために,発注する企業と受注する企業が一丸となって,なお一層の努力をしていただくことが必要であり,本市といたしましてもその支援に努めたいと考えております。また全国的には,国において発注企業が下請中小企業に十分配慮するよう要請する動きもあり,本市といたしましても,その実現に向けて努力してまいります。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) まず友禅など和装業界の対策についてでありますが,長期にわたる需要の低迷にバブル経済の崩壊が重なりまして,一段と深刻な状況にあると理解いたしております。夏以降,景況懇談会の開催や,あるいは業界個々の聞取り調査を通じまして実態把握に努め,その対策の一つとして緊急特別融資を実施いたしました。また需要促進のために,現在和装啓発キャンペーンを全国的に展開するための準備に取り組んでいるところでございます。 次に和装対策緊急特別融資の条件についてであります。この融資は,現下の不況の中にありまして,主として減産対策のために実施したものでございます。西陣においても,厳しい状況の中で生産調整はやむを得ないと考えておりますが,融資条件の設定につきましては,市として厳正に対処いたしております。 次に中小企業経営安定特別融資について,事前チェックとのお話でございますが,融資の相談に当たりましては,個々の経営の状況を十分に把握し,適切な相談に努めております。事前チェックと受け止められるような対応はいたしておりません。この特別融資の小口利用者の無担保無保証人扱いにつきましては,保険制度の関連もあって困難でございます。現行の無担保無保証人特別融資制度で対応してまいります。また融資枠についてでありますが,当面50億円を想定いたしておりますが,今後の申込状況の推移などを見まして,他の制度の融資枠の活用を図るなど確保に努めてまいります。 次に無担保無保証人融資の融資限度額の引上げにつきましては,現在国,府と最終の詰めを行っているところでございます。また中小企業信用保険法に基づく特別小口保険の限度額の引上げにつきましては,今後府や他の指定都市とも共同して研究してまいりたいと考えております。なお利子補給につきましては,融資利率を低利に設定いたしておりますので,実施する考えはございませんが,返済猶予につきましては個々の経営実態に応じて御相談しております。 次に中小企業倒産防止共済制度あるいは小規模事業共済制度などにつきましては,景気の変動など事業が著しく困難な状況に陥ることを回避するため,あるいは経営の不安を解消することを目的に事業者の相互扶助の精神に基づき設けられたものでございます。一方,雇用保険制度は,労働者保護の観点から従業員を雇用するすべての事業所に適用されるものであり,制度設立の趣旨が異なるものと理解しており,今後の研究課題としてまいります。 次に無担保無保証人,無利子の貸付制度の新設についてでありますが,この制度としては,夏季・歳末特別生活資金貸付けがございます。これはお盆や正月などの一時的な生活資金として市民の皆様に御利用いただいているものであります。この事業の通年化あるいは緊急対応は,本市の大変厳しい現在の財政事情の下では困難な状況であり,また制度の性格上,貸付限度額あるいは返済期間など,ある程度の条件はやむを得ないものと考えております。 次に国民健康保険料の引下げについてでありますが,平成4年度につきましては,3年度に引き続き1人当たり平均保険料を前年度と同額に据え置いたところでございます。これは本市としては最大限の努力を行ったものでございます。今後の保険料につきましては,4年度の事業運営の状況,特に医療費の動向などにより非常に大きな影響を受けますので,それらの推移などを十分に見極めながら慎重に検討してまいりますが,引下げは大変難しいと考えております。 次に都市計画税の引下げについてでありますが,この税は,都市計画事業の推進を目的としたものであります。本市におきましては,地下鉄建設や道路,公園整備など多くの事業があり,かつ早急な整備が求められているところでございます。したがいまして,これらまちづくりの貴重な財源でございます都市計画税の税率を引き下げることは大変困難でございます。 次に和装業界における雇用調整助成金の活用についてでありますが,本助成金の適用につきましては,全国の業界単位で業種指定される必要があります。このため友禅,西陣織等和装業界が指定されるためには,それぞれが所属する全国的組織が労働省に働き掛ける必要がございます。本市といたしましては,関係業界とその必要性と可能性について協議してまいりましたが,一部関係業界においては既に働き掛けをされているところでございます。 最後に後継者育成についてでありますが,京都の伝統産業にとりまして後継者の確保,育成は重要な課題であります。本市では,昭和42年度から伝統産業技術後継者育英制度を設け,後継者難の職種に従事する若手技術者に対しまして育英資金を交付してまいりましたが,今後工業,染織両試験場における技術者研修と併せて制度の効果的な運用を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 藤原君。 〔藤原冬樹議員登壇(拍手)〕 ◆(藤原冬樹君) ただ今市長並びに薦田助役より御答弁いただきましたが,大企業JRに対しては甘く,不況に苦しむ業者,働く人たちには冷たい姿勢がまた明らかになったと思います。 小倉山問題についての新聞紙上の怒りの投書は続いています。10年掛かろうと何年掛かろうと,市民の前で約束したことはやらせなければならない。 〔可児副議長退席,川中議長着席〕 ◆(藤原冬樹君) (続)市がやらせる姿勢を見せればできるはずである。それは行政の権威ではないのか。厳しい指摘ではありませんか。大企業に屈し,行政の権威を失った京都市の姿勢を市民は許さないでしょう。我が党は,市民とともに今決算委員会でも小倉山問題厳しく追及するものであります。 不況対策について,私は,緊急融資だけでは駄目で,総合的な激甚災害時に似た対策を採らなければならないと,その具体化を広範に求めたのでありますが,お答えは,12月を前にして苦しむ業者の方々の切実な要望にこたえないものではなかったでしょうか。緊急融資を何とかと駆け付けてきた人が,400人のうち70人は申し込めたとしても330人には次の手を打たなければならないのにそれがない,それが現在の京都市の姿勢であります。市長が企業に親書など出して働き掛け,積極的な姿勢を示して欲しいと求めましたが,それもない。その間にも2次下請,3次下請の業者の所には,親企業様は30パーセントのコストダウンを要求してきています。協力していただきたいとの手紙が舞い込んでいるのであります。 川崎市長が企業に出した手紙は,たった700字のものであります。しかし,それは親企業から突然舞い込む一片の手紙におびえる業者や働く人々には,逆に生きた激励になることを厳しく銘記すべきではないでしょうか。やれることは何でもやるぐらいの姿勢が今市長に求められている,そのことを厳しく指摘し,引き続き決算委員会で同僚議員とともに,きめ細かく要求することをつけ加えて,私の質問を終わります。(拍手)-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時28分散会〕--------------------------------------          議長    川中増次郎          副議長   可児達志          署名議員  田中セツ子          同     いさか博文...